「就活」で話題の「ソー活」のメリットと課題を考える。運用次第で成功も失敗も。

2012.01.26

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こんにちは、内藤です。

新卒の就職活動の早期化が学生の勉強に影響を及ぼすと懸念されていたここ数年ですが、今年度(2013年入社)から就職活動に解禁日が定められたようですね。12月1日からはじまった今年の就職活動はそろそろ一通りの説明会を終え、早いところは面接に入っているようです。
この就職活動、最近では「ソー活」と呼ばれるものが注目されているようです。今回はこの「ソー活」について、私の考察と感じたことをお話させていただきたいと思います。


キーワードは"ソーシャルメディア"と"双方向コミュニケーション"
ウィキペディアによると、「ソー活(ソーかつ)とは、TwitterやFacebookなど限られた時間の中ほぼ初対面の相手とのコミュニケーションでは、面接する側もされる側も本音をさらけだすことは難しく十分な情報を得られることがないまま雇用を決めなければないません。こうした双方の"ミスマッチ"を避けるためにもソーシャルメディア上でのコミュニケーションが注目されたようです。

ソー活は"双方向コミュニケーション"というだけあって、「企業側」と「採用者側」の2通りの立場で話すことが可能です。ではそれぞれどのようなメリットと課題があるのでしょうか。


コスト高と運用が課題の企業のソー活
企業のソー活は応募者とのコミュニケーションをとるための場所を提供し、そこで採用情報などの告知や採用希望者からの質問に答えていくことがメインの活動となります。説明会では伝えきれない社内の様子や現場の声を掲載し、会社の雰囲気をより掴んでもらおうとする狙いです。また、SNSを使って企業から特定の人へアプローチすることも可能です。現在の新卒採用で利用されている多くのFacebookページやTwtitterではあまり使われていないようですが(というか確認する術がありませんが)、転職活動やヘッドハンティングの分野ではよくある話ですね。LinkedInではどの企業のどんな人が自分のページを見に来たかが分かるようになっています。
しかしながら、キャンペーンやブランディングでのソーシャルメディアの運用が難しいのと同様に、ソー活はも決して簡単ものではありません。採用活動中はひとつのフォーマットで数回の説明会を開催していた今までの人事活動が、ソー活ではひとつのフォーマットはひとつの更新でしかなくなり、期間中は常に最新情報をアップデートする必要があります。またオンライン上でのコミュニケーションはユーザからのアプローチの敷居を下げるので、対応が従来の数十倍にもなりかねません。
また、コミュニケーションは公開されているので、特定の採用希望者に対しての返信が大きな影響力を持ちます。企業のソーシャルメディアポリシーに沿った対応が必要となります。

[メリット]
・ブログ等ユーザに親しみのある形で情報を伝えることができる。
・応募者と面接の場以外でコミュニケーションをとることができる。
・面接だけでは分からない応募者の活動を見ることができる。
・企業側からアプローチすることもできる。

[課題]
・コミュニケーションの量が増えてコスト高。
・ソーシャルメディアポリシーに沿った運用の難しさ。


ITリテラシーの高さが鍵を握る採用希望者のソー活
採用希望者にとってのソー活は、希望する企業のFacebookページを[いいね]やフォローして情報を取得、人事担当者とコミュニケーションをとって自己アピール、というのが主な活動になります。時間的な制約で説明会に出席できなかったり、質問できなかった人にとってオンライン上で活動ができるのはとても助かりますよね。また、面接に行く前にソーシャルメディア上で関わりをもっておけば、実際に会ったときには少なからずお互いに親しみをもって話をすることができると思います。特に新卒では、採用の決め手となるのは「この人と一緒に働きたい」と思うかどうかという話をよく耳にします。その点においてはソーシャルメディアで誰よりも多くコミュニケーションをとっておくことは有利に働くのではないでしょうか。
一方で、ソーシャルメディアは知って欲しくない情報も知られてしまう可能性があります。例えば、Facebook上でA社の人事担当者とコミュニケーションをとっているところを競合のB社に見られてしまう等です。それが採用にどのような影響を及ぼすかはわかりませんが、あまり知られたくない情報であることは確かだと思います。またプライベートでの活動も見えてしまいますので、日常生活に気が抜けないこともあるかもしれません。この課題はプライバシー設定やソーシャルメディアをどう使っていこうかという自分なりの取り決めである程度解決することができますが、それを設定するのにはソーシャルメディアの特性や機能の理解、少し高めのITリテラシーが必要となってきます。

[メリット]
・企業によっては多くの情報を入手でき、企業への理解を深めることができる。
・面接以外の場での自己アピールが可能。
・企業とコミュニケーションをとる敷居が低い。

[課題]
・自分がどのような活動をおこなっているかの情報が公開されている。
・ある程度のITリテラシーの高さが必要。(技術的な部分と倫理的な部分)


企業側と採用希望者側の両方からソー活を見たところ、双方が抱える課題として「ソーシャルメディアの使い方」があるということが分かりました。ソーシャルメディアが私たちの日常のものになってからはまだ数年しか経っておらず、まだまだ手探りな状態であることを考えると当然なのかもしれません。

ちなみにこのソー活ですが、新卒採用においては「ソー活に熱心な学生は優秀な人材であることが多い」という話があるようです。そのためソー活に参加する企業が増えているとか。これは様々なブログ記事で是非が説かれていますが、個人的には、ソーシャルメディアを活用できるITリテラシーの高さとソーシャルな場で臆することなく自己アピールすることのできる積極性やコミュニケーション能力、自己ブランド力は評価されるべき側面であると思います。それが「優秀な学生」に結びつくかどうかは「企業の求める人材」によると思うのですが、みなさんどうでしょうか。

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