IoT向けクラウド揃い踏み 2015年11月IoT事例&ニュース

2015.11.26

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こんにちは、池田です。今月のIoTニュース記事は、製品ではなくて、クラウドプラットフォームのニュースを取り上げたいと思います。


IoTは、インターネット オブ シングズの略であることから分かるように、インターネットのある部分、ある側面です。IoTと言うと色々なデバイスの独自性のみが取り上げられがちですが、当然そのデバイスからインターネットに接続する部分も含んでいます。インターネットにつながっているのなら、ウェブが近年そうなってきたように、クラウド化するのは自然なことです。

ここ二か月ほどで、IoT向けのクラウドプラットフォームの開始・発表が相次ぎました。いくつか見て行きましょう。

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[9/15] セールスフォース・ドットコムがSalesforce IoT Cloudを発表

iot1511_salesforceiotcloud.png プレスリリース抄訳: http://www.salesforce.com/jp/company/news-press/press-releases/2015/09/150916.jsp

顧客管理システムのSaaS製品などで有名なセールスフォース・ドットコムが、IoT向けのプラットフォームSalesforce IoT Cloudを発表しました。

Salesforce IoT Cloudは非常に多くのデータを扱える基盤であるほか、分析のためのツールを提供すること、IoT製品から集めたデータをウェブサイトやSNSによるそれと統一的に扱えること、既存のPaaSであるSalesforce Customer Success Platformと連携して様々なシステムと繋げるが特徴であるとのことです。

IoTデバイスから集まるデータを分析することで、それを扱う顧客との関係を築くことをサポートするということを重視している、つまり飽くまで顧客にフォーカスしているということで、自社の強みをうまく活かしたプラットフォーム設計になっていると思います。

[9/29] マイクロソフトがIoT向けクラウドプラットフォームAzure IoT Suiteをリリース

iot1511_azureiotsuite.png マイクロソフト社の技術者によるブログ記事翻訳: https://satonaoki.wordpress.com/2015/10/07/azurecon-india-gpu-iot-container-security/

マイクロソフトは、クラウドプラットフォームであるMicrosoft Azureを運用しています。これまで、その中で、IoT向けソリューションであるAzure IoT Suiteがプレビュー版として提供されていましたが、正式リリースされました。プルーフ オブ コンセプトからプロダクション運用まで、またデバイスとの接続、統合、データ収集と分析を簡単に行えることが特徴とのことです。

IoTで使う通信プロトロルではMQTTが紹介されることが多いですが、Azure IoT Suiteでは(HTTPのほかは)AMPQを用いています。MQTTよりも慣れている人も多いでしょうから、そういった人にはメリットになるかも知れません。

[9/30] ソラコムがIoTプラットフォームSORACOM及び関連サービスを開始

iot1511_soracom.png プレスリリース: https://soracom.jp/press/2015093001/

ソラコムがIoT向けのプラットフォームSORACOMを開始しました。ソラコムがMVNOとなり、ネットワーク接続のためのSORACOMのSIMを提供するほか、多数のSIMを一括操作するコンソールなども提供されます。

専用SIMとネットワークによって、通信機器設置のコストだけでなく、IoTデバイスにありがちなWi-Fi設定などの面倒な過程をすべて省けてしまうのは、エンドユーザーにとっても魅力的ですね。

[10/8] アマゾンがAWSのIoT向けプラットフォームAWS IoTをベータリリース

iot1511_awsiot.png プレスリリース: http://aws.typepad.com/awsjapan/2015/10/awsiot.html

AWSとして様々なクラウドサービスを提供しているアマゾンが、その一つとしてAWS IoTをベータリリースしました。

デバイスからの接続を受け付けて、それぞれの状態を管理することができるとのことです。接続が途切れがちな状況でも正しく状態を管理できることが特徴のようです。また、既存の各種AWSサービスと連携できるので、データの分析やそれ以上のことに活かすことができます。

AWSは非常に広く使われているので、その延長として使える敷居の低さは魅力的ですね。また、いつも接続が保証されているわけではない、という状況下での管理を打ち出しているところがAWSらしく、IoTに適してもいると感じました。

[11/3] ウインドリバーがIoTのためのプラットフォームをWind River Helix Cloud及び関連OSを提供開始

iot1511_windriverhelix.png プレスリリース: http://www.windriver.com/japan/news/press/151104_WR.html

組み込み機器向けソフトウェアの提供で知られるウインドリバーが、IoT向けのクラウドプラットフォームWind River Helix Cloud及びIoT向けのOSであるWind River RocketとWind River Pulsar Linuxを発表しました。

クラウドの方では開発、シミュレーション、テスト、データ管理が行えるようになり、デバイス用のOSを提供することで、ウインドリバー社の言う「エッジからクラウドまで」、幅広い範囲をカバーしているのが特徴です。

OSの方に、Wind River Helix Cloudへ直接接続する機能があるようで、ソラコムとはまた違った意味で、IoTデバイスの開発が加速しそうです。


以上、最近のIoT向けクラウドのニュースを振り返りました。

IoT向けのクラウドと言うと、データを集めてそれを管理する程度しか考えていませんでしたが、各社各様に強みを打ち出したサービスを提供してきて面白くなっています。また、最初に「デバイスの独自性のみが取り上げられがち」と書きましたが、IoTで勝負しようという場合はここがポイントになるでしょうから、データ収集などはクラウドサービスに任せ、本当に自分たちの注力するべきところに集中できる土壌が整ってきているということだと思います。参入障壁が更に下がったことで、2016年はおもしろいアイディアの製品がどんどん出てくるんでしょうか、楽しみです。

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