今だから知っておきたいVR!ヘッドマウントディスプレイと制作方法についての基本知識

2016.04.14

201604vr.png こんにちは。シナップの飯山です。 2016年はVR元年とも言われ、3月末に発売されたOculus Riftをはじめとする様々なヘッドマウントディスプレイ(以下、HMD)が登場し、気になってる方も多いのではと思います。

シナップでも先日、「VRの基本的な知識は押さえておくべき!」とデザイナーチームによる社内発表で取り上げました。

VRに関する情報が溢れるなかで、いったい何がポイントなのか頭を悩ませてる方、VRの話題に乗り遅れたくない方へ。 まずは基礎知識として、VRコンテンツを体験するためのハードウェアHMD製品の基本的なチェックポイント、VR映像制作の簡単な解説をご紹介します。

1. HMDの種類

HMDにはディスプレイ一体型でPCやゲーム機器に接続するハイエンドタイプと、スマートフォンをディスプレイ代わりに装着したHMD単体で体験できるゴーグルタイプがあります。 より高質なVR体験ができるハイエンドタイプでは主要3製品をピックアップしてご紹介します。

ハイエンドタイプHMD

【Oculus Rift】

Oculus-Rift.png Facebook傘下になったアメリカのOculus VRが開発。ハイスペックPCと接続して使用します。
ザッカーバーグは「未来のソーシャルプラットフォーム」と位置付けていることから、ゲームに限らず日常生活に近い活用が模索されていくのではないでしょうか。

  • 発売日:2016年3月28日
  • 国内価格:94,600円
  • ポジショントラッキング:赤外線カメラ(付属)
  • ハンドトラッキング:Oculus Touch(別売)
  • リフレッシュレート:90Hz
  • 視野角:110度
  • 画面解像度:1,080×1,200px(有機ELパネル)×2枚

【HTC Vive】

HTC-Vive.png 北米のゲームスタジオValve Corporationと、台湾の電子機器メーカーHTCが共同開発。ハイスペックPCと接続して使用します。
高度な位置検出ユニットによるルームスケールVRで、部屋の中を歩き回れたりダイナミックなVR体験が可能です。トラッキング領域や性能の高さから没入感は随一とも言われています。

  • 発売日:2016年4月5日
  • 国内価格:111,999円
  • ポジショントラッキング:Lighthouse(付属)
  • ハンドトラッキング:ワイヤレスコントローラー(付属)
  • リフレッシュレート:90Hz
  • 視野角:110度
  • 画面解像度:1,080×1,200px(有機ELパネル)×2枚

【PlayStation VR】

PlayStation-VR.png 日本のソニーが開発。PlayStation 4へ接続して使用します。
視野角とディスプレイパネルの解像度は他の2つより低いものの、一際高いリフレッシュレートは動きの早いゲーム描写などで発揮されそうです。 別途PC購入を必要せず、PlayStation4ユーザーをはじめ、シェアを拡げるために手が届きやすい価格帯に抑えられています。

  • 発売日:2016年10月
  • 国内価格:44.980円
  • ポジショントラッキング:PlayStation Camera
  • ハンドトラッキング:PlayStation Move(別売)
  • リフレッシュレート:120Hz
  • 視野角:100度
  • 画面解像度:960×1,080px(有機ELパネル)×2枚

ゴーグルタイプHMD

goggles.png

ハイエンドタイプとは異なり、スマートフォンを装着してより手軽にVR体験を提供できます。   Gear VR、Google Cardboard、ハコスコなどがあり、スマートフォンで閲覧できるようにWebサイトやアプリでVRコンテンツを配信することで楽しめます。 ハイエンドタイプに比べると低コストで、配信によって多くの人に提供できるので、短期間で多くの体験者を獲得したいキャンペーン企画やイベントなどに適してそうです。

2. HMDでチェックすべき3つのポイント

両眼ディスプレイパネルを搭載したハイエンドタイプHMDを装着することで得られる高品質なVR体験。まるでその場にいるような体験ができるその圧倒的な没入感は、VR体験の魅力の醍醐味とも言えます。 この没入感を左右するHMDの仕様として、視野角・リフレッシュレート(Hz)・画面解像度の3つがあります。快適なVR体験を得るにはこの3つをチェックするべきです。

【視野角】

viewangle.png 正面から正常に視える範囲を表します。 人間の視野角は左右で200度、上下で130度ほどと言われています。 ここで取り上げたHMDの視野角は90〜110度。 視野角が大きいほど広い範囲を視野に収めることができ、VRでの没入感も高まります。

【リフレッシュレート(Hz)】

framerate.png リフレッシュレートは1秒間のコマ数を表します。 動画で使われるfpsと意味としては同じで、数値が高いほど映像が滑らかになります。 視界全周を別の映像に置き換えるVRでは、最低でも60Hz~75Hzは必要で、快適な体験のためには90Hzは欲しいところです。

【画面解像度】

resolution.png HMDのディスプレイには液晶パネルまたは有機ELパネルが使われます。有機ELの方が画質が高く滑らかな映像表現を体験できます。 映像の遅延やフレームレートの引っかかりなど、目で見ている視覚情報と三半規管の加速感覚のズレはVR酔いを引き起こします。

3. VR映像の制作方法

HMDを装着して前後左右の全方位を見ても対象物を見ることができる360度映像は、大きく実写映像と3DCGアニメーション映像の2つに分類できます。 実写映像の制作の流れを見ながら、必要機器の紹介と合わせて見てみましょう。

実写撮影で制作する4ステップ

【企画】

ゲームかイベント利用なのか目的は様々ですが、VRの没入感を活かした企画を考えましょう。 物語性・疑似体験性・エンターテインメント性・臨場感の観点から考えてみたり、最終的なコンテンツの配信方法から考えてみるのも良いかもしれません。 例えば、360度映像で球場で見る試合の臨場感や、車の内装や乗り心地を伝えるものなどもあります。

  

【撮影】

360度撮影が可能な全天球カメラ1台で撮るお手軽な方法と、GoProなどのアクションカメラを複数台使って編集する上級者向けの方法があります。

手軽に撮影ができる全天球カメラは発売が期待されているNikon KeyMission 360をはじめ、GIROPTIC 360camや現在YouTubeで使用可能なRICOH THETA、Kodak PIXPRO SP 360、IC Real Tech Allieなど種類も豊富です。

camera.png

上級者向けの撮影方法としては、GoProを6台使うのが一般的で、ELMO QBiCを4台で撮影する方法や一眼レフカメラを使った方法もあります。GoPro16台同期するOdysseyという製品もあります。
複数台カメラで一度に撮影するためには、リグと呼ばれる三脚に固定するためのマウントが必要となります。 コンパクトで広角で撮れるカメラとしっかりと固定できるリグを選ぶことが、次の工程にある編集作業の手間を軽減することに繋がるので重要です。

camera02.png

【編集】

複数台のカメラで撮影した場合、撮影角度の異なる各カメラの映像をつなぎ合わせるスティッチ作業が必要です。 スティッチ作業には、AUTOPANO VIDEOVideo Stitchなどのスティッチングソフトが使われます。

stitch.png

【配信】

ゲームや専用アプリで提供する以外に、もっとも手軽な方法として配信があります。 ユーザーがどんな風にコンテンツを楽しむのか配信方法を考えましょう。

  • Web上へ埋め込み配信
    ユーザーがインタラクティブに操作できる。

  • YouTube等へ配信
    各メディアを使って広く配信できる。

  • イベントなどで空間を提供
    よりリッチな特別体験を供給できる。

3DCGで制作する場合

プレーヤーが自由に動き回るアニメーションやゲームが作れるようなソフトを使って、HMDで楽しめるリアルタイム3Dコンテンツを制作することができます。 ゲームエンジンのUnityUnreal Engine 4で制作したり、3DモデリングソフトのプラグインVR4MAXでも制作することができるようです。

game-engine.png

4. まとめ

イベントや展示コンテンツなどビジネスでの活用が多く見られるVRも、今年の各種HMDとVRゲームの発売を機に一気に一般化してゲーム以外にも身近に楽しめる機会が増えるかもしれません。 こんな市場予測もあります。

「技術の進歩により価格が下がり、BtoB、Btocともアプリケーションの新たな市場が立ち上がる。我々はVR/ARが数十億ドル(数千億円)の市場を生み出し、PCに新時代をもたらす可能性があると見ている」(ゴールドマン・サックス アナリスト Heather Bellini氏)

VR市場が成長すれば製品価格も下落して、HMDが一家に一台、一人に一台までに普及するのもそう遠くないかもしれません。 VRを活用した新しい企画やプロモーションにご興味がある方は、シナップへご相談ください。

シナップではプロトタイピングによるプロダクト開発のお手伝いを行っております。
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