話題の「 Huffingtom Post(ハフィントン・ポスト)」とは

2011.02.28

こんにちは、内藤です。

先日AOLからの高額買収で話題になったHufifington Post。このHuffington Post はアメリカのニュースサイトなのですが、インターネット、特にソーシャルメディアを活用した新しいタイプのニュースサイトという印象を受けます。今回はこのHuffington Postについてその特徴と魅力を調べ考察してみました。


Breaking News and Opinion on The Huffington Post.png


基本情報

Huffington Postとはアメリカのニュースアグリゲーションサービスを提供しているニュースサイトで、フリーでコンテンツを提供し広告収入によってビジネスを展開させています。コンテンツは大まかに以下の3つにカテゴライズされます。

・オリジナルのブログ記事
・オバマ大統領やビル・ゲイツ氏など著名人によるオピニオンブログ
・外部ニュースサイトへのリンク

コンテンツは政治からお笑いまで幅広く扱っており、特に情報感度の高い女性に人気のあるサイトのようです。本拠地はニューヨークにありますが、ロスアンゼルス、シカゴ、デンバーとちょうどアメリカの東西と中央をカバーしています。

低コストの実現と優良コンテンツ

オンライン媒体に特化しているため、発行までにかかる物理的な費用が必要ありません。また、Huffington Post はニュースサイトでありながら、Huffington Postに所属する記者は存在しません。Huffington Postのスタッフは主に編集者で、毎日ブロガーから送られてくる記事や、他のニュースサイトのどの記事をサイトにリンクするのかを選択しています。

さらに、ブロガーは自分の記事のトラフィックやソーシャルメディアでの反響により報酬が支払われることになっています。反響の少なかった記事に対しては報酬が支払われることはありません。これにより、Huffington Postではコンテンツ制作の低コスト化に成功しています。
記者(ブロガー)は注目度の高いメディアに自分の記事が記載されることにまず喜びを感じることでしょう。そして、次はもっと注目を集めたいと思い、さらにその注目を持続させたいと執筆に対するモチベーションをどんどん盛り上げていくでしょう。注目を集める記事を書くにはどうしたらいいのか、それは話題の事柄の記事を誰よりも早く、誰よりも高い質をもって提供することです。そのために、ブロガーの書く記事の質はどんどん良くなっていきます。その結果、Huffington Postは他のニュースサイトに引けをとらないくらい質の良い記事を提供することができるのです。

オバマ氏やゲイツ氏などのオピニオンブログも当然ながら人気コンテンツです。ユーザだけでなく著名人達からは自分たちの意見を自由に発表するプラットフォームとして注目されています。個人ブログでは彼らに興味のある読者にしか意見を伝えることができないのに対し、こちらでは彼らのファンも含むいわゆる"大衆"に向けて発信することができます。著名人達のオピニオンブログも基本的に原稿料は無料となっているようです。


リベラルな姿勢

Wikipedia によると Huffington Post は"リベラル"なニュースサイトとして定義されています。これは会社の方針ではもちろんあるのですが、通常のニュースサイトが会社としての立場をもとに記事を作成しているのに対し、Huffington Postは会社としてではなくHuffington Postに属さないそれぞれの記者(ブロガー)が個人の見解をもとに記事を書いているためというのも大きなポイントのような気がします。
時にはちょっと保守的、時にはちょっと急進的な記事を読むことで、ひとつの事柄に対していろいろな見解があると知ることができます。TVのコメンテーターや1つの新聞記事に引きづられることなく、自分はどの立場なのか、どういう意見に賛同するのか、というのを考えされられ、選択できるところにHuffington Postの魅力を感じます。


ソーシャルメディアの活用

Huffington Post では、ソーシャルメディアが活発に利用されています。ブログ記事にソーシャルメディアを使って拡散できるような仕組みになっているのはもちろんのこと、外部ニュースサイトの関連記事へのリンクにもソーシャルメディアでどのくらい話題になっているかの表示がされており、このライブ感は次にこの記事を読もうというモチベーションや、そのライブに参加したいという気持ちをさらに高めてくれる効果をもっています。記事を読んだ読者が次にとる行動パターンとストーリーがよく考えられ、彼らがすぐにネクストアクションを起こせる、または彼らをうまく誘導するサイト設計になっています。そのためサイト内での行動範囲が広がり、サイトの滞在時間が長くなり、結果としてHuffington Postのファンを増やすことに成功しているのではないでしょうか。そして彼らの起こしたアクションはさらに人を呼び、現在の盛り上がりを確立したのでしょう。


インターネットとソーシャルメディアと大衆がバランスよく利用され、盛り上がり、時代にあったニュースサイトという印象を受けます。人気のあるサイトの割りに利益はあまり上がっていなかったようなのですが、AOLからの高額買収によって経営も安定してくるのではないでしょうか。これからどのようにウェブトレンドに合わせて変わっていくのか、Huffington Postがアメリカだけでなく世界のニュースサイトにどのような影響をもたらせていくのか、注目していきたいです。


参照サイト:
・ The Huffington Post, Wikipedia
・ Why The New York Times Will Lose to The Huffington Post, Wired
・ How The Huffington Post Can Pay Its Bloggers, Huffington Post
・ [第2回]躍り出たオンライン新聞 創業4年目の「HuffPost」が急成長する二つの理由, Media Watch

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