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2009年01月29、01月30日にAdobeが主催するAdobe Max 2009というイベントが開催されました。アドビの最新テクノロジーを発表する場として開催されているイベントで、各ベンダーさんも集まり今後のWeb業界を占う重要なイベントです。また、Web業界を中心に著名な方が講演をおこない、トレンドを掴んだり最新テクノロジーや制作のノウハウなどを学ぶには大変有意義なイベントです。

今回はこのAdobe Max 2009 1日目に開催された下記のセッションについてレポートをお届けしたいと思います。

  • 基調講演
  • RTMFPを使った未来のコミュニケーション
  • Keyword for Communication Planing 2009
  • Catman制作者が紹介するFlash最新情報


基調講演
スピーカー Adobe Systems CTO ケビン・リンチ氏

今回の各セッションのラインナップから見て取れる様に、2009年、AdobeはFlashの技術に力をいれていくようです。9割以上のセッションがFlashおよびAirに関連した物でした。

基調講演も同じ様にFlashとAirを中心にクライント+クラウド、ソーシャルコンピューティング、デバイス+デスクトップの3つにわけて進められていました。

クライント+クラウドではFlashPlayer10の新機能、3D、Sound、テキスト周りの新技術をつかったデモが繰り広げられていました。ハタハタとはためく、絨毯の上にFLVの動画が再生されるデモが印象的でした。
さらに、テキストまわりの新機能をつかったAIRのニュースリーダーが紹介されていました。Air上で本誌と同じ様にレイアウトされたNewYorkTimesが読めるというもので、インターフェースとして面白いものでした。また常に最新のニュースが表示されるといったネットのアドバンテージをいかした、紙面では実現できない機能を盛り込んでいました。新聞広告のようにバナー広告も貼られていて、なかなか興味深いものでした。

ソーシャルコンピューティングではニコニコ動画が紹介されていました。まあ、日本人であればほとんどの方がご存知のサービスですが、それがケビン・リンチ氏の口から「すっごいおもしろい!コメントがリアルタイムで書き込める!」などと紹介されると、ニコニコ動画の面白さを再認識させられます。

私が一番興味深く拝見させてもらったのは、デバイス+デスクトップの話でした。ここではPSP、PC、携帯電話など各種デバイスでAirを使って同じアプリケーションを動かすデモが紹介されていました。その中でもdocomoの永田さんによる、携帯電話でのAirアプリケーションが印象的でした。Photoアルバムのアプリケーションで、PC上でアルバムを操作すると携帯電話上のアルバムも同期して変化するという今までにはなかったコミュニケーションが繰り広げられていました。その後docomoのブースで担当の方にきいたら、Airをdocomoの携帯で採用するかわ正式には決定してないそうですが、是非このようなアプリケーションが使える様になって欲しいと思います。

このデバイス+デスクトップの話でもわかるように、AdobeはAirで各種デバイス間の連携を取って行くということに力をいれているようです。異なったデバイス、OS間の連携については今のところ"コレ!"といったソリューションはまだありません。それをAirが担う事ができれば、我々のコミュニケーションに劇的な変化が起こるかもしれません。そういったAdobeの意気込みが感じられた基調講演でした。



RTMFPを使った未来のコミュニケーション
スピーカー Adobe Systems 太田氏

FlashMediaServer(以下FMS)で実現する、Flashアプリケーションの同期通信には用途によってRTMP、RTMPT、RTMPSの3つのプロトコルが使用されています。その同期通信の次世代プロトコルとして採用されたRTMFPのに関してお話されていました。

RTMFPはUDPベースのP2Pのプロトコルです。従来のプロトコルに比べ以下のようなアドバンテージがあると説明されていました。

  • UDPベースであること。
  • Flash側でパケットレベルで細かい制御ができる。
  • 速度が早い。
  • プロトコルベースでセキュア
  • 従来のプロトコルではトンネリングやSSLの技術を使って実装していた、セキュリティの機能がプロトコルベースで実装されている。
  • ActionScriptでセキュリティの機能にアクセスできる。
  • ダイレクトP2P通信である。
  • 1対1、1対Nの通信が可能である。従来はFMSを一度中継していたため、負荷が集中していたため、クライアント数が増えればそれに伴い、サーバーのスペックも高機能なものが必要であった。
  • FMSはクライアント同士のマッチングを行うだけなので、クライアント数が増えてもFMSの負荷はほとんど無い。

これらのアドバンテージの結果、通信速度の向上と負荷分散が実現され、高度な同期通信をするアプリケーションを実現できるようになるそうです。
RTMFPはFlashPlayer10以上、Air1.5以上で実装されているそうですが、FMSに関しては次世代のバージョンを待つ必要があるようです。これが実現すれば、基調講演で話された様な、デバイス間での高度な同期連動も可能になりそうです。



Keyword for Communication Planing 2009
スピーカー スケダチ 代表取締役 高広伯彦氏

スケダチは広告キャンペーン、広告ビジネスの開発をするコミュニケーションデザイン等を行う会社で、代表の高広氏は元代理店の方で、主な実績に「牛乳に相談だ」などがあります。インターネット広告に関わり始めた2003年から、インターネット≠Webページ等のと思われていたかたで、インターネットのメディアを組み合わせるだけでもいろいろな可能性があるとおっしゃってました。
このセッションでは現在のコミュニケーションプランについていくつかのキーワードを交えてお話していました。Adobeのアプリケショーンに全く関係の無い、全セッションの中でもユニークなセッションでした。

Marketing Manipulation から Consumer Control
インターネット広告が主流になる前の従来の広告主が広告量をコントロールできましたが、例えばBlogパーツなんかは、いくつそのBlogパーツが貼られるかというのは未知であり広告主が完全にその広告量をコントロールは出来ません。米Time紙では毎年注目の人が選ばれていますが、2006年は"YOU"だったそうです。この事はYouつまりユーザーが時代をになっているという事を如実にあらわしているといえるでしょう。つまり、消費者を広告主がコントロールできる時代は終わり、逆にユーザーが広告を選ぶ時代になったということです。

高広氏はこの例として、学生コミュニティの"キャスフィ"をからめたキャンペーンについて、お話ししてました。このキャスフィで各年代の学生それこそ下は小学生から上は大学生まで全年代の学生が集うポータルで、日夜恋の相談等活発な意見交換がされています。小学生の恋の相談掲示板などは私の年代では全く想像できないですが、ネットがここまで浸透しているんだなぁと感心させられます。

そこで高広氏はここでのキャンペーンについてこんな話をしていました。
学生が集まるからといって学生をターゲーットにしたバナー広告を貼ったとしても、それは面白いものにならず、出来上がっているコミュニティにいきなり入ろうとしても、きらわれてしまうそうです。高広氏が考えるキャンペーンの手法としては、学生が集まるコミュニティの外(となりに)パビリオン的なしくみを作ることが、効果的だそうです。

Impression Reach から Relevalancy/Acceptancy
ユーザーには受け入れられる許容度というのがそれぞれあるそうです。この許容度を超えた広告というのはユーザーには受け入れられないそうです。

その例としてBlykという携帯電話のサービスが紹介されていました。Blykはヨーロッパで展開する、携帯電話の通話料を一部無料にするサービスです。年齢や性別などをユーザーが登録し、自分の設定した上限の量だけ広告がメールで送られて来る代わりに、ユーザーは一定の無料通話、メールを受け取れるしくみです。そのBlykでの広告が効果をあげているそうです。メールで送られてくる広告をユーザーはちゃんと見ているそうです。これはユーザーに関係のあるもので、ユーザー許容量内であれば、広告もしっかり受け入れられることを示しています。サイト制作ではユーザーの許容時間内に広告主の伝えたいことが伝えられるかということが重要だそうです。

Share of Voice から Share with User
McNuggetsのRapがyoutubeで流行っていたそうです。若者二人がマクドナルドの駐車場でラップをしたものがyoutubeでアップされたことから始まり、それを模倣した多くの動画がyoutubeでアップされたそうです。最終的にはマクドナルドが最初の若者二人をつかってCMを作ったというのですからおどろきです。高広氏は、従来のようにクリエイティブの成果がシェアされるのではなく、そのコンテンツのフレームがシェアされている所にこの動画の面白い部分があるとおっしゃってました。

Demographic から Tribe
従来はDemographic=属性(年齢、年収、性別など)から見ていてターゲットを、"共通の趣味や特徴などのユーザの行動をとらえること"=Tribeが重要になっているというお話でした。その例として"同盟"というのお話ししてました、同盟はSNSのコミュニティより繋がりの強いリアルなコミュニティーでバイラルの対象にしやすい集合だそうです。Tribeは「マスに比べて小さいのでは」と良くいわれるそうですが、小さな集団をまとめて1つの名前をつけることにより、大きな集団をつくることも可能だそうです。

Media Paning から Scenario Planing
"Traditional media Planing is Suck!!"という印象的な言葉から始まりました。メディアからコミュニケーションプランを発想する従来の人は頭の中に既にメディアがあり、それ以上は無いそうです。さらに、現在は"発信されている情報量"が"1人の人間が消費できる情報量"を完全に超えているつまりは飽和状態で、そういう状況においては、どうやって情報を伝えるか、そのシナリオを作って行く、つまりはScenario Planingが重要になってきます。一連のシナリオを決めれば、新しいメディアを発掘するかもしれないし、従来のメディアの役割もはっきするということでした。

Between Contents から Between Consumers
従来広告というものはコンテンツの間に挟まっていた、どうでもいいものとして扱われてきました。
それがいま広告自体がコンテンツになるということです。例としてBMWのFilmを紹介されていました。有名なBMWの広告です。確かに広告としてはやり過ぎともいえるクオリティです。ただ、この様なコンテンツもクオリティとは別に、ユーザーの導線上にふさわしい物として存在するというのが重要になってくるそうです。

かなり早足で現在のコミュニケーションプランをいくつかのキーワードを並べて、おはなしされていました。コミュニケーション デザインとはなんであるか、という疑問の答えを知る重要なヒントになりました。個人的には今回受講したセッションのなかで一番ためになったセッションでした。



Catman制作者が紹介するFlash最新情報
スピーカー アニメーター 青池大輔氏
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Flashアニメーションの第一人者ともいえる青池さん。青池さんはCatmanの発表で一躍有名になったフリーのアニメーターの方で勢力的に活動されています。このセッションではFlashを使ったアニメーション作成とCS4の新機能についてお話しされていました。


青池さんがアニメーション制作にFlashを使う理由は以下の点を上げてました。

Flashをアニメーション制作に使うメリット


  • プレビューが簡単

  • AfterEfectとの連携が楽

  • Webなどの媒体との親和性がいい。

青池さんはActionScriptを全く書かない純正のアニメーターの方ですが、タイムラインアニメーションでは主にグラフィックシンボルをつかってだいたい次の様な手順でアニメーションを制作をされているそうです。

1 タイムラインにタブレットを使って絵コンテを作成。
2 それぞれのシーンをグラフィックシンボル化して、シンボルの中にアニメを作る。
3 タイムライン上で必要な間をとったり、不必要な部分をカットし仮編集を行う。
4 連版PNGにして書き出す。
5 AfterEfect等で編集

シーン毎にグラフィックシンボル化することで分業も容易になるそうです。
絵コンテをFlash上で書いて、それに肉付けするところなど、従来のアニメーション制作に比べてかなり効率が良さそうですね。Flashをアニメーション制作ツールとして使う場合はかなり有効な手段ですね。

その他にはCS4の新機能であるインバースキネマティクスを使用したFLEAの紹介がありました。コミカルなおじさんキャラクターのアニメーションで、それぞれのキャラクターが、ピコピコせわしなく動く様子が特徴的でした。インバースキネマティクスの採用でかなり効率的に制作できているようで、CS4の可能性を十分にあらわしているものでした。