ゲームしながら社会貢献も 「ゲーミフィケーション」とは

2011.10.14

こんにちは、内藤です。

最近にわかにウェブ業界、マーケティング業界でのキーワードとなっている「ゲーミフィケーション」。様々なブログやニュースサイトで考察が進められ記事になっているので、みなさんも一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。

ゲームジャーナリスト新清士氏によるとゲーミフィケーションとは、ゲームをおもしろくするために使われる技術やノウハウをゲーム以外の分野に応用していこうとする取り組みで(「ゲームで社会をよくする「ゲーミフィケーション」 新清士)、ユーザに楽しく利用してもらうことによって、エンゲージメントを高め、継続的に利用してもらうことを目的としています。
ゲームの要素を取り入れることはエンゲージメントを獲得するための手段であって、ゲームをすることが本来の目的ではないので、ゲーミフィケーション=ゲーム化された何か、というわけではないようです

もっともこの概念は最近になって現れたわけではなく、ましてインターネットに特化したものでもありません。インターネットのなかった数十年前から私たちの日常に溶け込んでいるものです。例えば、商店街の福引やポイントカード。福引券をもらうためにあと数百円の買い物をしたり、ちょっと遠くのお店まで足を伸ばします。また、小学生の時にやったラジオ体操のカードなんかも分かりやすい事例としてあげられます。一日も休まずにスタンプで埋めることのできたカードにはちょっとした達成感を得ることができますよね。
他にも誰かに決められたルールの中ではなく、「このゴミが一回でゴミ箱に入ったら今日はいい事ある!」という自分ルールのなかで日々の生活を楽しく、豊かなものにした経験、これもゲーミフィケーションと言えるでしょう。


スマートフォンのユーザ増加やSNSが私たちの生活の一部になりまた同種のサービスが増えたことによって、Webサービスやアプリを継続的に利用してもらうためにこういった概念が「ゲーミフィケーション」として、最近改めて語られるようになりました。
株式会社ライブドアの浜俊太郎氏は、Webでよく使われるゲーミフィケーションの3要素として以下をあげています。

1. 課題
クエスト、ミッションなどユーザが挑戦すべき課題を設定し、ユーザがそれをクリアすることで達成感を与えます。難易度の設定は初めて挑戦するのには敷居を低くし、リピーターには飽きさせない等のバランスが重要になってきます。また、ランキングによりライバル意識を芽生えさせモチベーション向上へつなげます。

2. 報酬
課題をクリアすることで得られるご褒美です。バッジと呼ばれるアイコン画像の獲得や、レベルアップなどがそれです。難しい課題をクリアしたときにはレアアイテムを与えるなど、こちらも課題の難易度に合わせた報酬のバランスが重要になってきます。

3. 交流
浜氏によるとゲーミフィケーションにおいて非常に重要な要素は、この「交流」だと言います。確かにユーザ同士が話をするチャットや対戦は、相手の顔こそ見えないけれどコンピュータを相手にしているよりずっと盛り上がります。直接コミュニケーションをとることがなくても、課題で言及したランキングはライバルとの差が可視化されるので、間接的な交流と言えるでしょう。


このような要素を含みゲーミフィケーションの事例として取り上げられることが多いのが、スマートフォンアプリの「fousquare」です。以前こちらの記事でも書かせていただきましたが、この位置情報を利用したサービスは自分のいるところにチェックインをしてそのログを記録、共有します。指定された場所へのチェックインや様々な条件を満たすと「課題」をクリアし「報酬」(バッジ)を得ることができます。また、友人間でのランキングや見知らぬ人とお気に入りの場所のメイヤーを取り合うという「交流」をすることもできます。他にも浜氏の「ゲーム嫌いも知らないと損する ゲーミフィケーション入門」の記事では、「楽天ソーシャルニュース」「測るだけダイエット」「Dropbox」などを事例に上げています。今まで意識をしなかっただけで、みなさんのお気に入りアプリやサービスにもこの3要素を含んだものは多いのではないでしょうか。

また、ゲーミフィケーションはビジネスでのみ語られるものではありません。最近では、このゲーミフィケーションの概念を様々な社会問題の解決に使って社会を良くしよう!世界を変えよう!という取り組みが注目されています。例えば、節電への啓蒙とそれを促す節電ゲーム「#denkimeter」。自宅の電力メーターを1時間や1日ごとにチェックして、その数値をツイッターにつぶやくとともに公式サイトに入力すると、節電の「戦闘力」が算出され、ユーザー同士で獲得ポイントを競い合う仕組みになっているゲームです(「ゲームで社会をよくする「ゲーミフィケーション」新清士)。ゲーム要素を取り入れることによって人々を巻き込み、問題にとりかかる敷居を下げ、継続性をもたせています。ソーシャルメディアによって拡散することも容易になったので、今後このような取り組みはさらに増えることが予想されます。


シナップでもこのようにゲーム感覚を取り入れた社会貢献を毎年行なっています。そう、SINAP Christmasです。2010年は、クリスマスメッセージや写真を投稿するツリーが成長し、期間中のメッセージの数に応じて植林活動へユーザーに代わってシナップが寄付を行うクリスマス限定ユーザー参加型チャリティサイトを作成しました(SINAP Christmas 2010)。今年もゲーミフィケーションを取り入れた素敵な SINAP Christmas を企画中です。どうぞお楽しみに。


参照サイト:
「ゲームで社会をよくする「ゲーミフィケーション」日本経済新聞電子版
「ゲーム嫌いも知らないと損する ゲーミフィケーション入門」アットマーク・アイティ
「【対談:小林弘人×斉藤徹】 社会貢献ゲーミフィケーションの時代――ソーシャルメディアでエコをもっと楽しく」アドタイ
hamashun.me
「Gameが世界を変える!?今話題のGamificationという考え方」new way, new value
Gamification
「1億2000万人がゲーマーになる!? 「ゲーミフィケーション」理論とは」iトレンド

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