Movable Type入門編、各シリーズの特徴まとめ

2015.03.16

MovableTypeシリーズの違いをまとめてみた

こんにちは、エンジニアの村山です。

社内のエンジニアから「MTって最近なんか色々出てるけど、違いがよくわからん。」と言われてしまいました。そうですね、私もよくわからんです。

わからん事は調べましょう。というわけで調べてまとめてみました。

前段、MTとは

何度かこのブログでも取り上げてますが、CMSツールのMTこと「Movable Type」。シックス・アパート株式会社が提供しているコンテンツマネジメントシステムツールです。

古くはブログツールとして提供されていましたが現在はサイトコンテンツマネジメントに力を入れており、大規模なウェブサイト構築にも力を発揮しているウェブサイトの裏方です。オブジェクト化されたコンテンツの管理と、MTMLというHTMLライクな独自タグを用いたテンプレートエンジンで業種を問わず様々なウェブサイトで利用されています。

最近ではAPIを設ける等してWebサイトに捕われない様々なプラットフォームとの連携が出来る様になり、より「コンテンツマネジメント」機能を強化しています。

six apart Movable Type

Movable Typeシリーズについて

Movable Typeには枝分かれしていった様々なプロダクトがあります。

  • Movable Type Pro
  • Movable Type For AWS
  • Movable Type Cloud
  • Movable Type Enterprise(Advanced)
  • Movable Type.net
  • Movable Type Open Source(MTOS 5)
  • Lekumo(旧 TypePad)

普段MTと言われているのはこの中でも「Movable Type Pro」をさす事が多いです。

順番に見ていきましょう。

Movable Type Pro

Movable Type Pro

大正義MT。この記事投稿時の最新現バージョンは6.1xですね。

ライセンスには個人無償版とビジネス有償版があるため、個人のブログで使う分には無償でライセンス提供されています。脈々と続く MovabeType のスタンダートで、古くから使われているサイトも多いです。

前段に書いた通りで特に追記は無いですね。古くから使ってる所はアップデートしましょう。

six apart Movable Type

Movable Type For AWS

Movable Type For AWS

Movable Type がインストールされた、OS込みの AmazonMachineImage(AMI)です。

Amazon Web Servicesでサクッと環境を用意できます。基本的には普通のMovable Typeですがライセンス体系が大きく異なり時間課金となります。月にどれだけ稼働させたのでいくら、という考え方で支払もAWSの支払とまとめて行えます。

サーバ用意がとても楽ですぐに稼働ができます。また時間課金のため短期間での稼働を考えている場合は Pro に比べてライセンス費用をかなり割安に抑えられる場合もあるでしょう。他、特に言う事のないスタンダートな奴です。

six apart Movable Type For AWS

Movable Type Cloud

Movable Type Cloud

クラウドにインストールされた最新版の Movable Type をそのまま利用できるサービスです。すでにインストールされた所から使えるためインストール作業は不要でサーバ監視等も不要です。

Movable Typeの動作に最適化されたサーバを利用できるためMovable Typeをdisる常套句の「管理画面が重い」をそこまで感じる事がありません。

また新しいバージョンがリリースされると自動でアップデートを行ってくれるため保守が楽です。

プラグインやテーマの設置も可能ですが、プラグインの仕様によっては必ず使えるわけではない事に注意が必要です。またMovable Type自身が自動アップデート(検証猶予で一時的に停止も可能ですが)されるためバージョンの影響を受けやすいプラグインを導入している場合は注意が必要となってきます。

単純なお値段だけみると頭1つ飛び出して見えますが、サーバ利用料・サーバ監視費用・ライセンス費用・保守メンテナンス人件費が大幅低減され、かつ、高速動作・安定動作を望めるのでお値段だけでの判断はご容赦を。

six apart Movable Type Cloud

Movable Type Enterprise (Movable Type Advanced)

Movable Type Enterprise

ハイエンド仕様です。1ライセンスで複数台のサーバにインストールでき、グループ会社で1つのCMSを利用したり、チェーン加盟店で1つのCMSを利用したり、といった大規模なサイトネットワーク構成に強いです。

これこそ単純なお値段だけみると「ゲー!」っという感じですが、同級の他CMS製品と比較しても全然安いのではないでしょうか。

せっかくそれぞれの違いを書いてみてるけど、書いてる私はこれ使った事無いんです。これ以上何も書けない。Enterprise案件、ご相談お待ちしてます。

six apart Movable Type ENTERPRISE SOLUTION

Movable Type.net

Movable Type.net

期待の新生.net。立ち位置的にはCloudに近いですが、少しコンパクトです。

サーバー込みのサービスで動作を最適化された環境で使えます。

基本動的生成でめっちゃ早いです。独自のMTMLタグやテーマをGithudで管理できたりと他のプロダクトにはない独自の仕様があると同時に、コメント等のコミュニケーション機能がなかったり各種APIが無い等制限される部分もあります。

他のシリーズと違い「Movable Type環境が使えるソリューション」ではなく「Movable Type環境上で動いているサービス」と言ったら良いでしょうか。後述のLekumoに近いです。

またライセンスも特殊で、必要な分だけ買う、というやつです。「箱はいくつでも買えるけど箱そのものを大きくする場合は上限がある」という感じのライセンスなので将来サイト規模が大きくなる事がわかっている場合は注意が必要です。そもそも規模が大きい物は作れない可能性もあります。

Movable Type.net

Movable Type Open Source(MTOS 5)

Movable Type Open Source(MTOS 5)

MTOS、オープンソース版です。これは Movable Type5 までオープンソースプロジェクトとして公開されていましたが、 Movable Type6 より提供が無くなりました。依然としてMTOS5は提供されているため「どうしてもコストを抑えるために...」という場合ではまだ使えるかもしれません。

6以降のバージョンは出ませんので、いずれセキュリティ的な問題が出てくると思います。

カスタムフィールド等一部機能が元々備わっていないため拡張性がPro版に比べて数段劣ります。

Movable Type Open Source

Lekumo

Lekumo

「TypePad」という名のブログサービスが新しくなったものです。Cloudのをコンパクトにした .net をさらにコンパクトにしたもの、という立ち位置でしょうか。

Movable Type ベースのシステムなのでは Movable Type の仕組みを理解していると割と自由にカスタマイズできます。とはいえより独自の拡張が有るわけでもなくまたかなり制限されての動作になるため、なるべくコストを抑えたい場面にならないと登板しない印象です。

私個人の職歴の中では何度もお世話になっていたのですが、シナップの仕事では案件規模や拡張性を制限された環境がマッチせず長らくお世話になっていないです。現在はキャンペーンビルダーやOEMといったサービスもあり、単純にWebサイトを作るという物からWebサービスを補助するといった目的でも利用できるサービスになっています。

Lekumo

どう使い分ける?

Movable Typeの中でも選択肢がいっぱいあります。Movable Typeを使おう!となった時、どうやって使い分けるべきでしょうか。

拡張性を考えると制限を受けない「Pro」「AWS」、 保守性を考えると自動更新される「Cloud」「.net」、 安定性を考えるとデータセンター運用されている「Cloud」「.net」、 サーバ持ち込みの場合をなら「Pro」、 ライセンス費用を考えると「Pro」「AWS」「.net」...

と何を重視するかで最適解が異なります。それぞれの特長を把握できれば、あとは求められる仕様と付き合わせる事で余り難しく考えなくてもより最適な候補を絞る事は出来ます。

筆者目線でザックリ導入ケースを考えていくと、

Movable Type Pro

  • サーバ持ち込みの場合
  • プラグイン拡張を始めとした各種カスタマイズが必要な場合
  • 旧版からのアップデートの場合
  • 個人で使う場合(※個人無償ライセンス)
  • システムバックボーンとして(※6以降、DataAPI)

Movable Type for AWS

  • イベント・キャンペーン等のワンポイント稼働に(時間課金のためライセンス費をかなり抑えられる)
  • 利用サービスをAWSで固めたい場合
  • 手軽に環境を用意したい場合
  • システムバックボーンとして(※6以降、DataAPI)

Movable Type Cloud

  • 常に最新版を求められるセキュア仕様が高い場合(自動アップデート)
  • サービス自体の安定稼働が求められている場合(データセンター運用)
  • 保守費用を高く見ている場合
  • システムバックボーンとして(※6以降、DataAPI)

Movable Type Enterprise

  • チェーン店サイト運用など大規模なサイトネットワークを構築する場合
  • 親子会社や関連会社、複数企業が参加する団体や協会等、複数の別組織による共同利用を考えている場合
  • とにかく大規模向け

Movable Type.net

  • 常に最新版を求められるセキュア仕様が高い場合(自動アップデート)
  • サービス自体の安定稼働が求められている場合(データセンター運用)
  • Cloudがオーバースペックであると判断される場合
  • やや小振りで全体図が見えている案件規模の場合

Movable Type Open Source

  • 検証環境を用意したい場合
  • 個人で使う場合
  • ライセンス費用を絶対に支払いたく無い場合

Lekumo

  • 常に最新版を求められるセキュア仕様が高い場合(自動アップデート)
  • .netがオーバースペックであると判断される場合
  • 個人で使う場合

といった感じです。

まとめ

如何だったでしょうか。Movable Typeって実はこんなに色々あるんだぜ!っていうのが伝わっていれば幸いです。選択の幅が広がるのはWeb開発者としては良い事だと思っています。Melody(http://openmelody.org/)なんてなかったんや。

MTOSとLekumoは仕事として使うにはちょっと判断難しい所です。悪いソリューションではないのですが...ユーズケースがちょっと浮かばなかったです。地方にいた頃は開発予算の都合で導入という事はままあったのですが、ベストな選択だったかと言われると我ながら唸る所です。とはいえ今でも元気に動いているので質はバッチリですよ!

使い分けのポイントは大きく分けて3つ。

  • サーバーはどうするか
  • システム保守はどうするか
  • MTからの外部連携が必要かどうか(DataAPI)

この3点である程度絞る事ができるのではないでしょうか。

特定プラグイン動作の有無やコスト見合いかどうかもポイントとしてはありますが、そこに重点があるのであれば最初からそれで選択肢は絞られているはずです。

そもそもCMSはMovable Typeで良いのか?という前段階があります。そちらは次回の記事で触れたいです。

ここまで読んでも判断つかないMTでのサイト構築をお考えの方、ぜひぜひご相談くださいませ。

宣伝

mttokyo11.jpg

今回もMovable Typeの話をしたので、MT東京の宣伝です。

今月3月はMovable Type.netの特集と、弊社とオフィスシェアしているピクセルグリッドさんの仕事術のお話になります。

なんでこの組み合わせなのかは知りません!

ご興味ありましたら是非是非ご参加くださいませ。

「【MT東京-11】新CMS『Movable Type.net』の全て × ピクセルグリッドの仕事術」開催

※ Six Apart、Movable Type は Six Apart, Ltd. の商標または登録商標です。

シナップではMovable Type、PowerCMSを利用したサイト構築のお手伝いを行っております。
お気軽にお問い合わせください。

シナップは、Webサイト、アプリ、IoTなどインターネットとつながるユーザー接点すべてをデザインし、クライアントのビジネス立ち上げ、サービスの継続的発展をサポートすることを得意としている会社です。
Movable Type、PowerCMSを利用したサイト構築に関するご相談ございましたら、お気軽にお問い合わせください

この記事をシェアする