最近よく聞く「OK,Google」の技術って?Voice User Interface(VUI)の未来

2018.06.06

201805vui_top.jpg こんにちは。シナップ広報・ライターの鈴木しのです。

みなさんは「VUI」という言葉を耳にしたことはあるでしょうか。あまり耳馴染みがない方でも、音声入力や"Siri"などの言葉であれば、日頃から耳にしている言葉なのではないでしょうか。

VUIとは、Voice User Interfaceの頭文字をとった言葉です。声によるインターフェース、つまりは声によってあらゆる情報のやり取りを行うことを指します。

スマートフォンを始めとする最先端のデバイスの登場によって、今後ますます人気が高まると考えられるのがVUIの領域です。

今回は、デザイナーチームの小茅・久保田・飯山の3名から行われたVUIについての社内発表の様子をご紹介します。

VUI=声によって情報のやり取りを行うインターフェース

VUIとはVoice User Interfaceの頭文字を並べた言葉です。日本語に直すと、「声によるユーザーインターフェース」。言葉の通り、声を用いてあらゆる情報のやり取りを行うインターフェースのことを表します。

デバイスに対して、私たち人間が声を用いてアプローチを行う。そして、デバイスからも声による出力を行うことで、情報をやり取りしています。

ニュースやテレビなどでもよく話題に上る"スマートスピーカー"は、VUIの代表例として挙げられます。 音声認識機能を兼ね備えた高性能のスピーカーなので、離れた場所でも使用できて利便性が高いと世界各国でも注目を集めているのです。

「声」が必要なあらゆることをサポートする

201805vui01.jpg VUIでは、声を用いた情報のやり取りに関するさまざまな機能を兼ね備えています。実際の生活に焦点を当てると、以下のようなことができます。

・音楽をかけてもらう
・その日の天気や交通情報などを教えてもらう
・料理のレシピを教えてもらう
・車での道案内をしてもらう
・朝起こしてもらう
・商品の注文をしてもらう

などなど、声で指示できることであれば、多くのことができるデバイスであるといえるでしょう。

アメリカと日本での、スマートスピーカーの広がり

201805vui02.jpg 現在、VUIの市場が一番伸びているアメリカでは、3,300万台のスマートスピーカーが家庭に普及しています。2015年に170万台、2016年には650万台、そして、2017年には2,450万台と驚きの普及率を見せました。

さまざまあるスマートスピーカーのなかでも、アメリカでは「Amazon Echo」が70.6%、「Google Home」23.8%と、「Amazon Echo」がダントツでシェアを獲得しています。今後、Appleから発売される「HomePod」がどのように領域に参入するのか注目されています。

いっぽうで、日本でのスマートスピーカーの所有率はまだ2.2%。ただ、認知率は55.9%と、比較的多くの人に知られる存在となりました。

また、日本人らしく「周りの様子を見ながら購入を検討したい」といった理由で購入意欲を示している人も56.6%と高い数値をマークしています。アメリカに少し遅れをとる形ですが、今後は一気に市場が広がると考えられています。

さらに、機種に焦点を当てると「Google Home」が65.6%とのこと。これは、後半でも解説しますが、日本語の音声認識能力が高いことが理由としては挙げられます。

VUIを代表する3つの製品

パーソナルアシスタントとも言われるVUIの製品の数々。 もっとも私たちにとって身近なのは、iPhoneに搭載されている"Siri"の存在ではないでしょうか。

ここでは、現在注目を集めているVUIの代表的な製品をご紹介します。

1.Googleアシスタント

Googleが開発した、パーソナルアシスタントです。Siriのような存在として、日本ではアンドロイド端末に搭載されています。

▼「Googleアシスタント」の特徴は、以下の通りです。

・Googleのバックグラウンド技術(検索やMap、カレンダー等)と連携
・Google製品(Android端末やChromecastなど)と連携
・日本語音声認識能力が高い

▼「Googleアシスタント」ならではの機能としては以下が挙げられます。

・話者を識別した反応(好みに合わせた選曲など)
・ChromecastへYouTubeなどの動画再生
・先回り通知(渋滞や天気などの情報提示)を搭載する予定
・Actions on Googleでのさまざまな外部サービス

2.Amazon Alexa

欧米でのぶっちぎりの人気を誇る「Amazon Alexa」。 AWSで構築したクラウド技術で作り上げた音声認識技術が魅力です。(音声入力後、1秒以内に回答を返すほどの快適さ......!)

▼「Amazon Alexa」の特徴は、以下の通りです。

・Amazonの各サービス(通販、Prime、Musicなど)と連携
・Amazon製品(FireTV、Kindle、FireTabletなど)と連携予定
・他社アプリ(スキル)が多数に発展済み

▼「Amazon Alexa」ならではの機能としては以下が挙げられます。

・Amazonプライム連携(ショッピンク、Video、Musicなど)
・Fire TV連動した動画操作(予定)
・AudibleやKindle Unlimited連携した朗読を搭載予定
・多数のスキル拡張機能(タクシーを呼ぶ、英語学習など)

3.LINE Clova

LINEやNAVERなど、日本で人気のサービスと関連していることから、今後伸びてくる可能性が大きいと考えられているのが「LINE Clova」です。

▼「LINE Clova」の特徴は、以下の通りです。

・LINEプラットフォーム(LINE、LINE News、LINE Musicなど)との連携
・Clova FriendsでLINE無料通話が可能
・赤外線家電連携
・日本メーカー家電との連携
・バッテリー内蔵で持ち運び可能
・アジア展開、日本語家庭向け機能に力を入れている

▼「LINE Clova」ならではの機能としては以下が挙げられます。

・LINEの送信や読み上げ
・ハンズフリー通話(Clova Friendsのみ)
・赤外線による家電操作
・童話や昔話、落語の読み上げ

そのほかにも、Windows10から標準搭載されているパーソナルアシスタント「Microsoft Cortana」や、現在ではfacebook・Spotifyなども開発を進めているというパーソナルアシスタント。今後、ますます多様な種類のアシスタント・デバイスが登場するものと考えられます。

UIの歴史

201805vui04.jpg ここまで、VUIを搭載した製品についてみてきましたが、ここでUI(ユーザーインターフェイス)の歴史についてみてみましょう。 UIは長い時間をかけて少しずつ進化を遂げてきました。

・CUI(Character User Interface)
・GUI(Graphical User Interface)
・NUI(Natural User Interface)
・OUI(Organic User Interface)

これまでには、CUI、GUIの時代があり、NUIは現在のUIのスタイルを表す言葉とされています。今回取り上げた VUIはこのNUIのひとつと言われています。そして、これからの未来はOUIへと繋がる。UI領域の変遷は、このように語られています。

それではここで、もう少し詳しく、VUIにいたるまでの歴史を見ていきましょう。

CUI(Character User Interface)

CUIは、別名CLI(Command Line Interface)とも呼ばれます。 文字のみによるやりとりで、コマンドに対応した処理を行うことを基本としているため

・開発者向けのUIなので、一般ユーザー向けではない
・コマンドを覚える必要があるので、使いこなす上でのハードルが高い

などが特徴として挙げられます。

GUI(Graphical User Interface)

GUIは、パソコンやゲーム画面などを代表する、使いやすさとわかりやすさに加えて楽しさを伝えるためのインターフェースです。

・コンピュータグラフィックスを用いてやり取りを行う
・情報をグラフィカルに表現できる
・より直感的な表現に近く

といった特徴があります。

NUI(Natural User Interface)

NUIは、人間が普段行っている動作と同じようにインタラクションできるユーザーインターフェースです。別名、「五感に働きかけるインターフェース」とも言われています。

スマートスピーカーはもちろんのこと、電車の券売機やジェスチャーや音に反応するゲームなども例として挙げられます。つまり、VUIはNUIを実現する方法の一種なのです。

NUIの特徴は、以下の通りです。

・より自然体な入出力を行うインターフェース
・画面に直接触れたり、身体を動かすことでやり取りを行う
・自然な動作でコンピュータを操作できる
・五感に働きかけるフィードバックがある

また、VUIではこれまでのNUIが抱えていた「手が疲れる」「場所を取る」「時間がかかる」「誤操作しやすい」などの悩みを解決したインターフェースとも考えられています。ジェスチャーではない"会話"を中心としたことで、より自然なユーザーインターフェースに変わったといえるでしょう。

まるで身体の一部のような存在として生活に寄り添っているNUI。生活の中にコンピュータやサービスが完全に溶け込み、 私たちが意識せずに活用することで、だんだんと生活を豊かにできる未来が想像されています。

これからのVUIの未来

VUIを含めたNUIが目指しているのは、生活の中でより自然にデバイスが馴染み、活用できる未来です。 それらを解決するためには、以下のような点が重要と考えられます。

1.より自然体な会話

まだまだ人と人とが会話するようなスムーズさが見られていないVUI。具体的には、文脈を理解した上での会話や、対話相手の感情や状況の把握が課題として挙げられます。

2.よりスマートな支援

現在は会話を中心にユーザーの支援を行っていますが、今後はハードウェアをも組み合わた、総合的な体験の提供を求められています。

3.より多くの分野での活用

近年注目を集めているパーソナルアシスタントのプラットフォームのほとんどは、サードパーティ製品の拡張機能を提供しています。

今後は、それらを上手に使いこなすことで、事業者や個人があらゆる分野に活用して日々の生活に馴染んだ製品へと成長させていく必要があると考えられます。

まとめ

いかがだったでしょうか。勉強会の最後には、デザイナー・飯山によるGoogle Homeを用いたデモも行われました。

VUIを適切にデザインするために必要なのは、 ユーザーの意図を会話から正しく汲み取り、求められる応答をするための道筋を考えることです。

これらの技術や観点は、スマホアプリのUIをデザインする際に求められる力とは少し異なります。従来から求められるUIの観点はもちろんのこと、会話をリアルに想像し、声特有の性質を徹底的に考え抜く力も必要なのです。

まだまだ今後改善できるポイントはあるものの、声によってアクションを行うことで、家庭やオフィス内でも利便性向上にも繋がることが期待されるVUIの未来に注目が集まっています。

このように、シナップ では月に一度技術や考え方をみんなでシェアする勉強会を開催しています。もし、WebサイトやアプリのUI・UXにお困りの方は、ぜひ弊社までお気軽にご相談ください。

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シナップは、Webサイト、アプリ、IoTなどインターネットとつながるユーザー接点すべてをデザインし、クライアントのビジネス立ち上げ、サービスの継続的発展をサポートすることを得意としている会社です。
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