「結局、AIって何者?」 AIを活用した現在と未来を考えてみた!

2019.06.14

201905ai-top.png こんにちは、シナップ広報・ライターの鈴木しのです!

最近なにかと話題の「AI」ですが、みなさんはどのくらいご存知でしょうか。近年研究が進み、AIを使ったサービスがわたしたちの日常生活にも浸透しつつあります。そこで今回は、先日の社内勉強会でエンジニアチームが行なったAIの発表をまとめてみたいと思います。

そもそも、AIってなに?

まずは、AIとはなにか改めておさらいしていきましょう。辞書で調べたところ「人間にしかできなかったような作業や判断を、コンピューターを中心とする人工的なシステムにより行えるようにするもの。人類は未だに人間の脳の振る舞いや知能の仕組みを完全には解明していないため、人工知能にも明快な定義は与えられていない。」と記載があります。

つまり、AIの定義は未だ定められていないものの、命令されて動くだけのロボットと異なり、人工的につくられた「脳」の機能を備えているものをAIと呼ぶようです。

「AI」と「単なる自動化ロボット」はどう違うの?

では、AIと単なる自動化との違いはなんでしょう?

自動化ロボットはすでに組み込まれたプログラムにのみ従って動くため、想定外の出来事が起きたときに対応することはできません。一方、AIは自ら考えて動く機能が備わっています。目の前の事象を理解し、自力で応用することが可能。

たとえば、AIにたくさんの猫の画像を認識させると、さまざまな方向性で猫の特徴を学習します。次に新たな猫の画像を与えてたときには、以前読み込んだ画像データを元に、AI自ら猫の画像であると判断できるようになるのです。

つまり、自ら思考して自己学習する能力が備わっているかどうかがAIと自動化ロボットの違いとなります。

とはいえ、AIの定義が明確でないため、自動化ロボットとの境界線が不明確なのも事実。AIを使ったサービスが広まる一方、中には自動ロボットがAIと呼ばれているケースもあり、それらは見せかけのAI、すなわち「ゾンビAI」とも呼ばれているようです。

より身近に、より洗練されてきたAI

それではここで、身近なところに現れたAIの活用事例をいくつか見ていきましょう。

・BakeryScan
・スマートやさい
・点字ブロックでAIが音声案内

1.BakeryScan(ベーカリースキャン)

パン屋さんのレジ業務効率化を目的としたAI活用例です。あらかじめスキャナーに取り込んでおいたパンの写真と、トレイの上のパンの種類、値段をカメラが一括識別し、照合。スタッフが手動でおこなっていたパンの種類と値段を確認し、清算する業務すべてをAIが担うことができます。

スタッフがいちいちパンの種類や値段を覚える必要が無いため、人手不足やアルバイトのスタッフが多い店舗では好評です。今後、さまざまなパン屋さんでの導入が進められていくと思われます。

2.スマートやさい

より品質の高い農作物を栽培することを目的とし、農業にもAIが活用されています。畑上空にドローンを飛ばし、撮影した画像データを元に害虫がいそうな箇所をピンポイントで確認。農薬を的確に散布してくれる機能により、農薬の量を10分の1以下に抑えることに成功しました。

また、形や成長過程が異なる農作物ひとつひとつを識別し、AIが最適な栽培方法を分析してくれる機能により、生産者の技量や経験不足に左右されず一定の高品質を保ちやすくなることも可能になります。

3.点字ブロックでAIが音声案内

従来、点字ブロックの情報は「方向性」と「注意」のみでしたが、AIを活用することにより周辺施設の「音声案内」も可能になりました。金沢工業大学工学部情報工学科の研究チームが、AI技術を使った視覚障害者向け歩行サポートシステムの検証実験を、2019年1月12日(土)13時から16時まで金沢駅東口地下広場で実施。

被験者が身に着けたカメラで歩道上のコード化された点字ブロックを読み取ると、被験者の状況に応じてAIが行き先や施設の情報を車のナビのように音声で案内してくれます。GPSでは困難な細かい精度での音声案内が可能なため、視覚障害者だけでなく外国人にも利便性が高いと言われています。

利用できるAIライブラリ(開発対象としてのAI)

こうしたAI活用ですが、自分達には手の届かないもの......と思っていませんか? 現在では利用できるAIライブラリも多数登場しており、その活用も以前ほど難しいものではなくなりつつあります。

いくつかご紹介します。

・Google「TensorFlow」
・Microsoft「CNTK」
・Chainer
・Amazon「Machine Learning」

1.Google「TensorFlow(テンサーフロー)」

201905_ai_01.png https://www.tensorflow.org/?hl=ja
Googleが提供している、TensorFolowGoogleが開発したもっとも有名なディープラーニングワーク。手書きの文字の判別や画像認識が扱えます。

2.Microsoft「CNTK」

201905_ai_02.png https://docs.microsoft.com/en-us/cognitive-toolkit/

Googleに対抗するように出てきた、Microsoftが提供しているディープラーニングのフレームワークです。「Microsoft Cognitive Toolkit」の略。

3.Chainer(チェイナー)

201905_ai_03.png https://www.preferred-networks.jp/ja/tag/chainer

日本のスタートアップ企業が開発した国産のディープランニングフレームワーク。TensorFlowとよく比較され、互角の高評価を得ている(らしい)。

4.Amazon「Machine Learning(マシンラーニング)」

201905_ai_04.png https://aws.amazon.com/jp/machine-learning/

AW(アマゾン ウェブ サービス)のアプリケーション。あまり機械学習に詳しくない人でも簡単に学習モデルをつくったり予測結果を取得することができる。

実際にAIを使ったサービスを開発してみた!

ここで、社内発表ではTensorFlow上で動くニューラルネットワークライブラリKerasを利用して、人気アプリ『Snow』ならぬ、『Smow』というAIを使って自撮り写真を相撲取りの画像に変換するサービスのデモが行われました(今回は完全な相撲取りの画像生成まではできませんでしたが......!)。

実現のステップは、こちら。

・力士の顔画像を機械に学習させる
・顔の特徴を他の人に当てはめる
・四股名をつける

1.力士の顔画像を機械に学習させる

まずは、ウェブサイトから情報を抽出するコンピュータソフトウェアの技術、ウェブスクレイピング(英:Web scraping)を利用し力士の名前を収集。その後、Google Site Search(グーグルカスタムサーチ)で力士の画像を収集します。画像の識別では、力士ではない人が混ざっていたり人物が重複することも多々ありました。

次に、画像から顔を認識するため、画像処理・画像認識用オープンソースライブラリOpenCVを使用。判別できなかった画像もあり、目検が必要でした。最終的に、Kerasを利用して力士の顔画像を機械に学習させていきます。

2.顔の特徴を他の人に当てはめる

自分の顔の特徴を力士に当てはめることは難しい......。そこで、力士の顔を自分の顔に近づけていくことにしました。具体的には、自分の顔写真を判別し、より似ている力士に自分の顔のパーツを福笑いのようにはめていきます。

3.四股名をつける

最後に、四股名つける作業へ。 「形態素解析」⇒「構文解析」⇒「意味解析」⇒「文脈解析」 の順に機械に学習をさせ、四股名を決定されていきました。

AIがもたらすのは明るい未来? それとも...?

AIの機能は、2020年東京オリンピックの採点にも利用されるそうです。体操競技やフィギュアスケートなど、採点が複雑な競技をAIが実施。肉眼では判断しかねる瞬時の動きに3Dのセンサーが1秒間に230万個発光し、動いている対象物の関節の位置や曲がり具合と、AIに組み込まれた競技データを照合させて判断を下すため、公平で公正なジャッジが期待できます。

ここまでご紹介したAIの機能。普及が進むにつれ、わたしたちの日常生活はどのように変化していくのでしょうか。利便性が高い一方で「人の仕事を奪うのではないか」「映画のようにAIに支配される日が来るのでは......」と懸念の声が上がっているのも事実。AIによる明るい未来を期待する限りです。

まとめ

今回は、最近よく聞く「AI」についてご紹介してきました。数年前までは、実用化はまだまだ先だと思っていたAIですが、研究が進むにつれ着実にわたし達の身近な存在になりつつあると実感しました。

AIの高度な機能に支配されてしまう懸念を抱きつつも、人間の能力では足りない部分を的確に補ってくれ、よきパートナーして活用していければより豊かな生活が実現できるのではないでしょうか。シナップでも、人々の生活をサポートしていくようなAI機能の効果的な開発を目指していきます。

最後までご覧いただき、ありがとうございました!

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