スマホサイトの「続きを読む」は必要か?(モバイルフレンドリー)

公開日: 2015.05.28更新日: 2022.12.15

こんにちは、内藤です。
モバイルフレンドリーの連載、第4回目です。第3回を前編後編にしようと思っていたのですが、またしても長くなってしまい、さらには前編中編後編という構成でも収まりきらなくなってしまったので、普通に回を重ねることにしました。過去の記事も含め、今までの連載予定を更新しているので、今後の予定が気になる方がいらっしゃったらご確認ください。
前回に引き続き、"記事が読まれること"を主目的としているサイトを30ほどピックアップして調査を行った結果のレビューと考察をしていきたいと思います。今回は、メディア系サイトを設計している方なら1度は検討したことがあるであろうトピック「「続きを読む」を実装するかどうかについてです。
それでは第4回、いってみましょう。
<SINAP モバイルフレンドリー対応 連載>
第1回:「スマホで読まれる文章とは?」
第2回:「GoogleとAppleの推奨フォントは?」
第3回:「スマホサイトで指定すべき最適なフォントサイズとは?」
第4回:「スマホサイトの「続きを読む」は必要か?」
第5回:「スマホで読まれる文字数は?」
第6回:「記事をページ分割するメリット・デメリット」

「続きを読む」はポータルサイトと新聞社サイト以外では採用されていない傾向

今回の調査ではこのような結果となりました。
結果を見て分かる通り、「続きを読む」を実装しているのは、主にポータルサイト系の特徴であることがわかりました。ポータル系サイト以外では、トップページ、一覧ページ後すぐに詳細ページへと遷移します。
新聞社サイトでは、概要文(「続きを読む」の前)まで無料で閲覧でき、詳細ページへのアクセスには会員登録を促されるものが多かったです。中には会員登録せずに記事が読めるものもありますが、それは「続きを読む」の実装はしていないものがほとんどでした。

どうして「続きを読む」を採用しているのか考える

では、「続きを読む」を実装することにどのような設計思想があるのでしょうか。今回、ポータルサイトと新聞社サイトを軸にシナップのグロースチームで考察してみました。

理由①:多くの情報を消費してもらうため

自分を振り返ってポータルサイト、新聞社サイトを閲覧するモチベーションを考えてみると、これらを閲覧する時は世の中で何が起きているのかの概要を早く掴みたいというニーズがあるなと思いました。チーム内でこの話をしたところメンバーの共感を得ることができたので、そういう方は多いのだと思います。
「今日は何が起きているんだろう、「徹子1万回 ギネス認定で涙」?、(クリックして概要を読む)、徹子の部屋ってそんなにやってるんだー」といったかんじでしょうか。もっと興味があったら記事全文を読みますが、時事ネタとして押さえておくだけならここまでで十分です。
ウェブライティングのセオリーとして「タイトルで惹きつける」というのがありますが、ポータルサイトに関してその惹きつけは、ユーザの興味を煽るではなく事実を如何に端的に伝えるかにフォーカスしている気がします。
トピックだけで何が起きたのかが把握できる、もう少しちゃんと情報を掴みたい人は概要文を読む、さらに興味をもった人は詳細ページにアクセスするというように、トピックに関する興味の深度に合わせた情報の提供を行っているのではないでしょうか。

理由②:回遊コンテンツを多く見せたい

これは概要文の表示時に、他にどのようなトピックがあるのかを積極的に見せているのでは、という意見です。概要文は文章量が少ないですから、少しスクロールすると関連コンテンツをすぐに確認することができるサイトがほとんどです。その時に目についたトピックに対して「次にあれを読もう」と目星をつけている人は多いのではないでしょうか。ちなみにグロースチーム内でも「あるある」でした。
これは私の意見ですが、回遊をしてもらえばもらうほどサイトに対するコミットメントが上がると思っています。面白いコンテンツがたくさん掲載されているサイトと認識してもらえれば、更新情報を得るためにソーシャルアカウントをフォローされたり、ブラウザのブックマークに入れてもらうことができます。そうすると、次回も気軽にサイトに訪れてくれるようになります。

理由③:PV(広告表示回数)を獲得するため

「続きを読む」を実装すると、1記事に対して2ページ生成されます。トップページから遷移してきた場合、気になるトピックの詳細を確認したい時は、必ず概要ページを通過するので1人のアクセスにつき広告の表示を2インプレッション獲得することができます。
多くのポータルサイトのビジネスモデルは広告収入で成り立っているため、広告表示回数を獲得すればするほどポータルサイトの運営の収入が増えます。また、広告出稿先としての価値もあがることでしょう。
PV至上主義的な考え方はもう古いのでは、という意見もありましたが、ポータルサイトにおける広告の存在の大きさを考えると外すことはできないだろう、ということで今回理由として上げてみました。

理由④:会員登録への誘導

結果のレビューの時にも触れましたが、今回多くの新聞社サイトで概要文を"試し読み"として使い、詳細ページ(会員登録)への誘導を行っていました。会員登録を検討している人にとってはとても有効ですね。

まとめ

今回、読み物を中心としたサイトでの「続きを読む」の採用状況について調査し、採用する理由について考察してみました。これまでは特に気にせず触っていて、早く情報を掴みたいときは「面倒くさいなー」と思ってイライラしながら「続きを読む」のリンクを押したり、そこそこの興味でアクセスしている時は「ああ、なるほどね」で概要文だけで閉じたり、概要文を見ている時に次にアクセスするトピックを決めていたり、その設計思想は推測に過ぎませんが、改めて考えてみると用意されたものをニーズに合わせてうまく使っていたな、と思いました。今回のこの調査、メディア系サイトを設計する時には、ぜひ活かしていきたいと思います。
<SINAP モバイルフレンドリー対応 連載>
第1回:「スマホで読まれる文章とは?」
第2回:「GoogleとAppleの推奨フォントは?」
第3回:「スマホサイトで指定すべき最適なフォントサイズとは?」
第4回:「スマホサイトの「続きを読む」は必要か?」
第5回:「スマホで読まれる文字数は?」
第6回:「記事をページ分割するメリット・デメリット」

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