記事をページ分割するメリット・デメリット(モバイルフレンドリー対応)

2015.08.07
  • UXデザイン

こんにちは、内藤です。
モバイルフレンドリーの連載、第6回目です。前回は、各サイトの1記事に対しての文字量はどのくらいなのか、について調査し、だいたい1,000〜1,500文字くらいの記事が多いとお伝えしました(合わせてどうぞ! 第5回 「世の中のスマホサイトの文章量はこんなかんじを調査してみた」)。皆さん、体感としてどうだったでしょうか。
さて、今回は1記事を分割して複数ページで見せている記事についてのお話です。1記事をページ分けして見せているPCサイトは皆さんも多く目にしたことがあると思います。ではモバイルではどのくらいのサイトがそれを採用しているのでしょうか。また、ページ分割するメリット・デメリットについてシナップのグロースチームでディスカッションしてみたので、こちらも合わせて読んでいただければと思います。
では第6回、いってみましょう。
<SINAP モバイルフレンドリー対応 連載>
第1回:「スマホで読まれる文章とは?」
第2回:「GoogleとAppleの推奨フォントは?」
第3回:「スマホサイトで指定すべき最適なフォントサイズとは?」
第4回:「スマホサイトの「続きを読む」は必要か?」
第5回:「スマホで読まれる文字数は?」
第6回:「記事をページ分割するメリット・デメリット」

スマホサイトでの記事のページ分割はマイナー路線?

こちらが今回の調査結果です。
かつては多くのサイトが記事分割をしていたように記憶していますが、スマホサイトでの記事分割はかなりマイナーとなっていることが分かりました。「※記事による」となっているのは、サイトの方針ではなく、情報提供元メディアに合わせているためです。そのため、文章量が多くても記事によっては分割されていないものも多く見受けられました。
リストの下に行くほど文字量が多くなっていくのですが、この結果を見る限りでは、文字量が多いからと言って分割をするという判断はしていないようですね。また、分割をしているサイトの分割の文字量の目安を探ろうとしたのですが、ひとつの基準となるような数値は見つけられませんでした。私が調査した記事の中では、文脈、話の展開によって記事分割をしているようでした。

記事分割のメリットは、PV数を上げるだけではない

今回の調査では、記事分割は主流ではないという結果になったのですが、いい機会なのでグロースチーム内で記事分割をするメリット・デメリットについて話し合ってみました。そこでの意見をご紹介していきたいと思います。

運営側のメリットは、PV数アップとライターの意図した閲覧体験の提供

運営側のメリットとして一番はじめに思いつくのはやはりPV数をアップするためでしょう。広告を収益の軸としているサイトは、広告表示回数やバナークリック数がそのまま収益に反映されるため、より多くの広告を表示させるための手段としてページ分割の施策を採用しています。また、メディア価値を証明する1つの指標としてPV数が使われることも多いため、1訪問あたりでできるだけ多くのPV数を稼ぎたいという意図もあります。
ただし、PVのためばかりかと言えばそうとも限りません。ページ分割はユーザ自らが何かしらの動作をしないと次に進むことができません。そのため、ユーザに先を読まれずに話を展開することができます。
スマートフォンで情報が閲覧されるようになってから、スキマ時間の過ごし方の選択肢にスマホによる情報閲覧の選択肢が加わり、スクロールの手軽さも手伝ってか、スマホユーザは1つの記事に対して時間をかけて向き合うというよりは、まず記事をさらっとスクロールして概要をつかみ、興味があればその記事を読み直す、という読み方が多くなったように感じます。
情報消費の効率としてはとてもいいのですが、この「さらっとスクロールして概要をつかむ」時、話のオチが見えてしまうことが少なくありません。もちろん、そのような使われ方を想定して小見出しを設定しているので、必ずしも不本意なものではないでしょう。しかし、書き手としては起承転結でどのようにユーザの興味を掻き立てるのか意識して記事を書いているので、できれば順に話を追ってもらいたいものです。この時、ページ分割を採用していれば、スクロールだけではオチまで簡単にたどり着くことができず、提供側の意図する体験を与えることができます。

ユーザのメリットは、欲しい情報へのアクセスの良さ

ユーザ側のデメリットを考えるディスカッションの中で一番多かった意見は「欲しい情報へのアクセスの良さ」でした。前述の「ストーリーを順に追って見て欲しい」という運営側に少し対向してしまうかもしれませんが、記事を分割する場合は1記事の中でもテーマが細かく分かれるので、検索エンジン等で訪れた時に、キーワードに該当するページヘ辿り着きやすいというメリットがあります。
例えばこの記事が、1. 調査結果の報告、2. 記事分割のメリットの考察、3, 記事分割のデメリットの考察、という3部構成でそれぞれのページが存在していたとして、記事分割のメリットだけを知りたいと思っている人にとっては、いきなり2ページ目に出会えた方が必要な情報にすばやくアクセスできて便利ですよね。また、ブックマークやタグ付けして記事を保存しておく時にも、テーマが具体的な方が、情報を改めて引っ張り出す時、棚卸しする時に分かりやすいと思います。

記事分割のデメリットは、SNSの課題と1アクションをユーザに強いる重み

では、デメリットは何でしょうか。ここでも運営側とユーザ側の2軸で考えてみました。

運営側のデメリットは、1記事でURLが変わることによってSNSを活かしきれないこと

URLは1ページ毎に与えられるものなので、記事分割をするとその分URLが生成されます。そのためページ分割をした場合、1記事に対してURLが複数存在することになります。この場合、SNSボタンもページごとに生成されるため、SNSの機能を活かしきれないという課題が発生します。
多くのメディアサイトは、更新後にTwitter、Facebookでの告知を行い、リツイート、シェアボタンを活用して人から人へと記事の存在を広げて、多くの人をサイトに呼びたいと思っています。そのため、各記事にはソーシャルボタンが設置されています。
今回調査対象としたサイトも例外なく設置してありました。このソーシャルボタンですが、使い方が2種類あると思っています。1つ目はシェアするための機能です。こちらは特に説明が必要ないと思うので割愛しますね。もう1つの機能は、記事の話題性の評価です。Faebookの場合はどのくらいボタンが押されたか、Twitterの場合はTwitter上でどのくらい話題になっているのかが数字になってボタンとともに表示されます。(設定によって数字が出ない場合もあります。)
サイトに訪れた時、この数字を見て記事を読むかどうかを判断する人も多いのではないでしょうか。ボタンは good/bad の2種類のボタンを選択するわけではないので記事そのものの評価にはならないのですが、良くも悪くも話題になっているので、とりあえず読んでみようかなと、モチベーションを後押ししてくれます。
しかしながら、記事分割をする場合はURLがページ毎に存在するため、ソーシャルでシェアする対象も分割され、盛り上がりを集約できないという課題があります。3ページに分かれている記事も、1ページ毎に数字が10であるよりも、記事に対して30ある方が、面白そうに見えますよね。ソーシャルメディアは情報系メディアにとって欠かせない存在になったため、ページ分割を採用したい場合は何とも悩ましい課題です。

ユーザのデメリットは、記事を読むためにアクションが増えること

ページ分割することによってユーザに1アクション強いることがデメリットとして上げられることは、特に説明しなくても、容易イメージできることかと思います。逆に言えば、そのくらいデメリットとして大きいものだという認識があるのかもしれません。自身のユーザ体験を振り返ってみても、ページ分割しているのがわかった途端、面倒くさくなってサイトを閉じた経験がいくつもあります。私は決して気が短い方ではないのですが、次の記事が表示されるまでの数秒が待てないなんて自分でも不思議です。

まとめ

いかがだったでしょうか。最近ページ分割しているサイトが少ないなと感じていたので、調査結果に対してあまり驚きはなかったのですが、ページ分割についてのメリット・デメリットを改めて考えることによって、私はページ分割に対する意識がフラットになったような気がしました。
最近は特に、様々な調査で「ユーザの1クリックを減らすことによってコンバージョンがアップした」という報告を目にするので、アクションが増やすことにどうしても敏感になってしまうのですが、メリットもとても魅力的であるので、サイトの目的とターゲットを十分に考えた上でページ分割の採用について考えていかなければと思いました。
皆さんにも、ページ分割を考えるときの参考になれば嬉しいです。
<SINAP モバイルフレンドリー対応 連載>
第1回:「スマホで読まれる文章とは?」
第2回:「GoogleとAppleの推奨フォントは?」
第3回:「スマホサイトで指定すべき最適なフォントサイズとは?」
第4回:「スマホサイトの「続きを読む」は必要か?」
第5回:「スマホで読まれる文字数は?」
第6回:「記事をページ分割するメリット・デメリット」

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