リアルからウェブへ。ユーザの好奇心をくすぐる告知アイデア事例

2013.10.30
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こんにちは、内藤です。

2013年も残すところあと2ヶ月となってまいりました。この時期になると時間の流れが急加速するように感じるのは私だけでしょうか。日が短いというのも関係しているかもしれません。シナップオフィスでは通常ワークは地下で行っていて1日の空の移り変わりを見る機会があまりないので、時々夕方に窓の外を見ると暗くてびっくりします。(そして焦ります。)

さて、年末に向けてこれからイベントが盛り上がって来ますね! 年末商戦というくらいですから、各社様々なプロモーションを準備していることと思います。ウェブのプロモーションでもクリスマス、お正月と各社でいろいろなネタが上がってきて楽しみなのがこの時期です。

このウェブプロモーションですが、私たちのようにメディア業界で常にアンテナを張っているような人にとっては割りと身近なものなんですが、そうではない一般的なユーザ(例えば銀行で働いている友達)へは積極的にアプローチしていかないと届くものではありません。基本的にウェブはユーザから「見つけてもらう」必要があります。そのためには、何かしらプッシュな施策が必要です。でも、ただプッシュすればいいというものではなく、ユーザが「お!」となり、わざわざサイトへアクセスしようと思ってくれるものでなければなりません。ここのストーリー作成が企画の難しいところでもあり、楽しいところでもあるのですが。

前置きが長くなってしまいましたが、、、今回はその「お!」っとなるようなアイデア事例を紹介したいと思います。(参照:http://adsoftheworld.com/ )


ドイツの音楽レーベル Kontor Recordの「Office Turn-Table」


音楽レーベルは新曲ができると各メディアや販売店にサンプルを送って、雑誌、ラジオやテレビ局で紹介してもらうのですが、各メディアの担当者は毎日多くのサンプルCDを受け取るので、埋もれてしまったり、忙しくては視聴する時間をとることが難しくなっています。私も昔、とあるPR会社のアルバイトとしてこの仕事をしていたことがあるのですが(ちなみに私は映画でした)、何十本とサンプルを送っても反応があるのは5,6社だったりと、中々厳しいものとなっています。
そんな中、ドイツの音楽レーベル Kontor Recordでは、このようなユニークなDMを送るという試みが行われました。



英語が苦手な人も動画でほぼご理解いただけたかと思いますが、ざっくり解説。
紙でできたDJキットをDMとして送ります。そのDJキットに記載されているQRコードにアクセスするとDJキットの一部が表示されて、サンプルの音楽が流れます。

このDMの効果は以下のような結果に。

  • 900枚のDMの71%のQRコードへのアクセス
  • 64%以上のレスポンスを獲得(明言されていませんが、この場合のレスポンスとは音楽への取材申し込み等だと思います。)
  • 42%がKontor Online Storeのリンクをフォロー
目を引くDMというだけでなく、サンプル音楽とDMがあって完成するというのがいいですね。技術的には難しいことをしているわけではないので、アイデアの良さが惹きたっています。音楽がよかったのはもちろんあると思いますが、このように面白い仕掛けをしてきた音楽レーベルへの興味も、今回の結果を後押ししたでしょう。


大手ビザチェーン Domino's Pizzaの「Domino's Pizza Disk」

こういったプロモーション事例では常連のドミノ・ピザ。今回レンタルビデオ店と協力しておこなったプロモーションです。レンタルビデオ店のDVDをドミノ・ピザの広告媒体として、ちょっと面白い仕組みで活用しています。

Domino's - Pizza Disc (US) from Artplan São Paulo on Vimeo.

こちらもざっくり解説すると、プレイヤーに入れるとディスクが熱くなるというのを利用して、熱によってメッセージが浮き上がらせているという仕組みです。熱くなったディスクの上には、ピザの絵と『こちらの映画は楽しめましたか? 次の映画は、熱々で美味しいドミノピザと一緒ならもっと楽しめますよ!』的なメッセージが浮かびます。

こちらはウェブへつながっているストーリーではないですが、告知媒体に興味をもたせる仕組みとして紹介させていただきました。「どういうことだ!?」とディスクをじっくり見るので、何気ないDMハガキよりもじっくり媒体を見てくれるはずです。ここにオンラインで注文できるサイトのQAコードなんかがあったら尚良かったかもしれません。


ポーランドの広告代理店 AWT Warsawのコピーライター募集

ポーランドの広告代理店、AWT Warsawの行ったユニークなコピーライター募集です。ワルシャワで一番優秀なコピーライターを見つけるのにこんな試みを行いました。



ポーランドで一番大きなマーケティング雑誌に、広告ビジネスに関連したクロスワードパズル掲載。また、過去に広告賞の候補者になったことがある200人にもこのクロスワードパズルを送りました。このクロスワードパズルは、出来上がるとQRコードになっていて、そのQRコードの先に面接へ進むための連絡先が掲載されている、というストーリーです。いわば、筆記試験のようなものですね。結果は、300人のアクセス(パズル完成)があり、最後に写った女性が採用されたそうです。


応募者をふるいにかける必要もなくなりますし、応募する自信がなかった場合は自分にその資格があるかどうかを見極めるひとつの指針にもなりますね。また、こういった企画力をもつ会社というアピールにもなるので簡単な仕組みで中々奥深いアイデアだと思いました。来年あたり、どこかの企業の新卒採用でも使われそうですね。(もうあったりして。)


サイト上でどのようにユーザに楽しんでもらうか、という視点で企画は進みがちですが、紹介した事例のようにまずはどうやってユーザを引っ張ってくるかという視点で企画を考えてみると、もう少し俯瞰した全体的なストーリーが見えて、今までにない面白いアイデアが浮かんでくるかもしれませんね。
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