【シナップ20周年記念リレーブログ #3】記念対談:「過去から未来へ」シナップ20年の歴史とこれから
こんにちは。シナップ小茅です。
シナップ20周年記念を記念した2週間連続リレーブログ。本日は「SINAP Journal 2024 Summer」より、創業当時からのメンバー3人の特別対談です。
設立当初のエピソードや時代と共に進化してきたステートメントなどを振り返ります。
懐かしいエピソードから未来への展望まで、20年の歴史を語る特別対談をお楽しみください!
設立当初の思い出
小茅 「シナップ」って名前は坂西さんと小林さん(設立メンバーの一人)がラーメン屋さんで考えたという話が記憶に残ってる(笑)。
坂西 そうそう、確かその日も一日小林さんとずっと考えていて決まらず。最後、ご飯行こうとラーメン屋に行った時に決まったんだよね。
小茅 面白い。
坂西 当時はみんなフリーランスで、一人ひとりは小さな存在だけど、そうした人たちが結びつけば大きなことができるという展望があって、その結びつきを脳細胞のシナプスに例えた。シナプスはインターネットのネットワーク構造に似ているのもあり、ピッタリだなって思ったけど、そのままじゃ弱いなと思いながらラーメン食べてたらふっと閃いて、あとは響きの良さとドメインも空いていた(笑)ので決めました。
大川 そこでちゃんとドメインを調べるのが坂西さんらしいですね。
小茅 みんな繋がるみたいな話でいいじゃんって盛り上がったのをすごく覚えてる。
大川 その意識の高い感じとラーメン屋というギャップがいいです。
小茅 ビジョンは結構決まるまで時間かかったよね。
大川 本当に、めちゃめちゃかかりました。あーでもない、こーでもないと。
ただ、いま見返してもデザインの本質を捉えていて、今で言えば「デザイン思考」や「UXデザイン」に通ずることをこの頃から掲げていたのは手前味噌ですが、当時から良く考えられていたなと。
坂西 独立前からWebサイトを作るのではなくて、それを通してユーザーがどう感じて行動変容につながるかが大切だという考えがベースにあったのが大きいと思う。
The Communication Architectsの時代
大川 そんな設立当時ですが、この頃はまだスマホも存在していないんですよ。(なんかインターネット老人会みたいな話になってきましたが……)
Webサイトもようやく紙のカタログの延長から発展してきた頃、まだまだWebがメディアの時代でした。
僕は当時首都圏では一世を風靡したフリーペーパー『R25』のモバイルサイトの仕事をたくさん手がけていました。あれが最先端でした。
坂西 この頃モバイルサイトが一気に浸透してカタログ的なサイトから、様々なメディアの特性を活かしてどんなコミュニケーションを作るかが重要になってきたよね。
ビジョンの話でも触れたけど、単にWebサイトを作って終わりではなく、どうやってユーザーの行動に変化を起こすかが大切だと考えていた。一方でそこまで考えている人はまだ多くなかったので、シナップのスタンスを明確にしようとして考えたのが「The Communication Architects」というステートメントです。
小茅 ちょうどスタッフも増えてきた頃で、このステートメントで自分たちの立ち位置が明確になって、組織として生まれ変わった気がします。
iPhoneの衝撃
大川 それから数年後、業界というか世の中を一変させたという意味でiPhoneの登場は外せませんね。
2008~9年ごろから急速に普及したFacebookやTwitterといったSNSとiPhone 3GSのヒットが大きかった。
坂西 スマホの登場は生活を大きく変えるほどのインパクトがあったし、SNSが流行ったのもスマホの普及が大きい。そして僕らの仕事もWebがメディアの時代から、Webサービスの時代へと大きく変わっていった。
大川 「見る」から「使う」へ大きくシフトして行ったと思います。
小茅 確かに。レスポンシブデザインといった手法や制作ツール、UIに対する考え方もどんどん変わっていった時だもんね。
坂西 この頃、星海社さんと出会って、当時最先端のHTML5でのサイト構築やUstream配信とかいろいろ新しいことにチャレンジする機会をもらって楽しかったなぁ。思い返すと、こういう時代の節目節目で一緒にチャレンジできるクライアントに出逢っているのは本当にありがたいよね。
Designs to Growへ
小茅 そこから一気にスマホの時代になりましたね。
坂西 スマホを持っていることが当たり前になって、色々なサービスが増えてくると、ますますデザインは使いやすさや体験を作ることが重要になってきた。作ることはゴールではなくてはじまりで、そこから成長させていくという変化から、2015年に「Designs to Grow」にステートメントを変更しました。
自分たちがやっていることがコミュニケーション作りだけでは無くなってきていて、よりクライアントの事業に伴走するイメージが明確になったのがこの頃だね。
大川 これも決めるまで相当考えましたが「成長をデザインする」というのは僕たちをよく表していて気に入ってます。
シナップはもともとUXデザインではある程度認知されていたけれど、ABテストをはじめとした定量的なサイトグロースも他にない強み。この両輪で常にクライアントの成長に伴走するようなイメージが「成長をデザインする」には出てるかなと。
坂西 このステートメントに合わせて、プロダクションチームとグロースチームという、それぞれに専門分野をもった2チーム体制にしたけど、最近は各チームが自分たちの知見を深めるのと同時にチーム同士の協力も進んだのがシナップにとっても大きいと思ってます。
もう一つの転換点、コロナ禍を経て
小茅 私はコロナ禍を経てフルリモートの会社になったのがシナップのもう一つの転換点だと思う。
大川 ついこないだのことのようだけど、もう4、5年経ちますね——。
坂西 出社は出社でよい部分もあるので、これはポジショントークになってしまうかもしれないけれど、いま(大きなオフィスとか)色々手放した視点から見ると、なんであんな重いものを持っていたんだろうかと。
小茅 スタッフみんなの生活もかなり変わって、中には地方に移住した人もいるので、それぞれがより柔軟に働けるようになったのはよかったのかな。
大川 クライアントや会議のテーマに合わせて、対面のミーティングももちろんやっていて、そこはこれからも柔軟にやっていきたいです。
坂西 リモートワークが優れているという話じゃないんだよね。
それこそ冒頭で話した、シナップの社名の由来がネットワーク構造に似ている脳細胞の「シナプス」からきていて、それはネットワーク技術で色々な人たちと繋がる、どこからでもコラボレーションできるという未来像があった。
だから積極的に技術を使って、その実現にチャレンジしているって感じかな。
大川 そうですね。技術をうまく使ってよりよい方法を探れば、みんなにとってよい環境が作れないかなというチャレンジですね。
今後の展望
大川 だいぶ最近の話になってきたので、最後に今後の展望について——。
小茅 いきなりまとめてきた(笑)。
やっぱりAIとか?
坂西 この業界に限らず、今後AIは普通に使いこなしているような社会になるんじゃないかな。人口も減って、どの業界も採用が難しいのも間違いないから。だからAIの活用は前提で、その上で、UXリサーチの例えば観察から洞察を得るような部分は人が必要だったり、僕らがやっていることでもメリハリがついてくるんじゃないかな。
小茅 デザインもバリエーションの数だけでいえばAIで生成できて、テストもできたとして、その上でデザイナーがどう判断していくかという部分は残りそうって思ってます。
坂西 シナップでも今後も積極的に試しながら、いろいろ自分たちのサービスに繋げていければいいなと思ってます。
大川 AI以外でいうと、最近では、UXリサーチやヘッドレスCMSのmicroCMSでのサイト構築、ABテストなどのグロース支援に力を入れていますが、今後注目しているという意味ではWebサイト以外の業務システムやタッチパネルなどのUI/UXにも注目していますね。
小茅 他にも、新しいデバイスといえばVR/MR?
坂西 VR/MRが広く普及するのはまだまだなところもあるけれど、着実に進化しているので、今後もどんどん増えていくよね。そうした中でまた新しいサービスや表現が生まれてくるので、楽しみつつキャッチアップしていきたい。
業務システムやタッチパネル・AR/MRなんかもそうだけど、基本的にWeb周りのスキルセットで対応できるし、UXリサーチや体験設計なんかはなにをする上でも重要だから、僕らのデザインや技術をいろんな分野に広げて活用していきたいと思います。
大川 そうですね。時代の節目に良い出会いがあったという話がありましたけど、なにかチャレンジングなことでも、シナップなら一緒に面白がれるのでは?とお考えの方がいましたらぜひお気軽にご相談いただければ!