ファシリテーターなのにミーティングについていけない...!【WEB業界つまずく前に知りたい話】
この企画について
Web制作会社の若手ディレクターさんや、事業会社のWeb担当者さまのヒントになるかも?!
いただいたお悩みについてWEB業界で長年活動している方々に話を聞いてみる、座談会形式の企画です。
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また、お悩みをお持ちの方はぜひ投稿お願いします!
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パーソナリティ
坂西(バンザイ)
ウェブ制作会社社長、プロデューサー
(業界歴 約30年)
大崎(オオサキ)
プロジェクトマネージャー
(業界歴 約25年)
三國(ミクニ)
この企画のファシリテーター
(業界歴 約18年)
【お悩み】ファシリテーターなのにミーティングについていけない
ディレクター2年目です。ミーティングをファシリテーションする機会があるのですが、クライアントやチームメンバーの会話進行が速くてついていけません……
話を振られた時にすぐに気の利いたコメントを言えずに「なるほど!」「そうですねー」で止まってしまいます。
どうしたらテンポの速い会話についていけますか?
または、違和感なく、信頼を損ねない振る舞いができますか?
この記事でわかること
- 「速い会話でもファシリテーターができること」を基本からTipsまで紹介
- テンポの速い会話についていくことだけが信頼獲得ではない
- ひけ目に感じなくて良い。自分のスタイルにあったものを選んで、自信持って行こう!
1.ファシリテーションの基本は?
この悩みは僕も若手の頃に経験したことがあって、みんな通る道だと思うんですよね。
「進行してまとめなければならない。それなのに話についていけない」という……
ざっくばらんにアドバイスをお願いしたいんですが、まずは基本というか「これを意識すればOKなこと」ってありますか?
行き当たりばったりでやってない?事前準備しよう。
基本でいうと、やっぱり事前準備だと思いますよ。
「速くてついていけない」というのは、出たとこ勝負で進行しているからかもしれないですね。
【準備が足りてない】んじゃないですかね。
なるほどー。若手だとあるあるな気がします。
『準備が足りなくてついていけないケース』だと、具体的にどんな対策ができますかね?
ミーティングには必ず『アジェンダ』と『最低限持ち帰りたい結論』があるはずなんですよね。
それをベースに事前に会議設計をしてみる。
時間の割り振り(タイムキープ)も考えてみて頭の中でシミュレーションしておけば、少なくともついていけないことはないと思いますよ。
準備段階で上司に「こういう進め方しようと思っているんですが」と確認を取っておくとさらに安心だね。
アドバイスをくれるはずだからこの時点でもし進め方がズレていたら精度をあげられるし、話にもついていきやすくなるんじゃないかな。
確認は重要ですね。
こうして事前準備が整っていれば、会議が始まってからは話がズレてきた時に「そうなんですけど、今日話したかったのはここなんですよね」って自分のシミュレーション内容に戻せばいいですし。
話が盛り上がっていればしばらく眺めておいて「じゃあ今日確認したかったことOKですかね。時間もないので次に行きますね」って繋げば良い。
ミーティングをコントロールしてあげるのが役目であって、必ずしも気の利いたことを言える必要はないと思いますよ。
ふむふむ。
事前準備ができていれば会話の流れをコントロールできるということですね。
あと、この方は「信頼を損ねない振る舞い」を悩んでいましたけど、気の利いたコメント以外にも「タイムキープ」や「趣旨からズレない」というのもファシリテータとしての価値ってことですね。
そうだね。ポイントの取り方は1つではないよね。
小まとめ
- 事前準備しよう
- 『アジェンダ』と『持ち帰りたい結論』をベースに会議設計をする
- 時間を割り振っておく
- 頭の中でシミュレーションする
- 事前準備してきたことからズレてきたら話を戻してコントロールしよう
whoとwhenを決めよう
他にファシリテータの基本として意識すると良いことは、『誰がやりますか(who)』『いつまでにやりますか(when)』ですね。
これを会話の中で挟むのも良いと思いますよ。
それを言えると、とってもファシリテータっぽいね。
ミーティング中は、『どうやって(how)』や『何(what)』は出やすいけど、肝心な『誰(who)』と『いつ(when)』が出ない時がある。
でもその2つが決まらないと進まなくて困るから、これを言えると上手にファシリテーションできますよね。
他の人が言いづらいことってポカーンと残ってしまうから、その整理をしてくれると「ちゃんと進めてくれている」と感じるね。
小まとめ
- 『誰がやりますか(who)』『いつまでにやりますか(when)』を決めよう
想定外の議題でも事前準備はできる!ヒアリングのフォーマットを日頃から用意しよう
最初に話があった「事前準備」に関連するんですが、事前に把握しているアジェンダとは別で、【当日に突然相談を受ける場合】にできることって何かありますか?
例えば、クライアントの方がいきなりザーッと速く喋るというか、言いたいことを全部言うけど先方も思い付きで話しているから理路整然としていない場合があって。
経験が浅いと、そういう時は話についていけなくて、的を得ていない返しをしてしまうことがあると思うんです。
「突然の議題に対しても準備はできる」と思うよ。
突然の話であってもすることはヒアリングだから、ヒアリングのフォーマットをざっくり覚えておいてそれに沿って一個ずつ聞いていくのが良いんじゃないかな。
例えば、大抵は「誰に、何を、どうやって」みたいな話だから、「これはこのユーザーに向けてですよね。何のためにやりたいんでしたっけ?」みたいに。
それめちゃくちゃ良いですね!
マストなヒアリング項目を貯めておく。「困った時にはこの順で聞いていく」という項目集。
実務的には、メモ帳とかNotionとかに貯めて検索できるようにして、クリップボードからすぐ呼び出せるようにしておくと便利そう。
これは今すぐに実践したい!
(こういうの大好き!)
そうそう。
突然の議題でも、他の人に「どう思いますか」と話を振って間を繋いでいる時間にヒアリング項目を検索すれば、瞬時に準備できるし、おすすめですよ。
小まとめ
- 突然の議題でも事前準備できる
- 「誰に、何を、どうやって」のような決めるべきことの基本フォーマットを作成しておこう
- メモ帳などすぐに呼び出せるところに書いておこう
2.ファシリテーションのtips
基本として大事なことは
・事前準備
・『誰がやりますか(who)』『いつまでにやりますか(when)』を決める
だと解りました。
ただ、頭ではそれが大事だと分かっていても、急に話を振られると焦ってしまって基本ができない時もあると思うんですよね。
そういった場合に使えるtipsって何かありますか?
喋ることだけが全てだと思っていない!?書くことで進行する方法
『板書』がいいですよ。みんなの発言をばんばん書いていく。
突然のことでも、書くだけならできますよね。
空中戦になっていることが可視化されることで理解が強化されて、曖昧だった部分が分かったりしますから、ファシリテータが話さなくても、書くことでまとめていけたら信頼は損ねないと思いますよ。
なるほど。板書は良いですね。僕もよくやります!
僕の場合は、オンラインミーティングでは画面共有している事が多いので、その画面共有している資料に「当日メモ」として書いていきます。
グラフィックレコーディングみたいな大げさなことじゃなくても、発言や要点をどんどん書いていくだけでもかなり整理されますよね。
そうそう。
ファシリテータとして、こういう貢献の仕方もありますね。
小まとめ
- 書くことで進行しよう
- 書くことで可視化されて理解が強化されたり、曖昧だったことが分かる
人に頼るのもアリ。とっさに使える返答もインプットしておこう
この方、「一人でなんとかしなきゃ」と思っているかもしれないですけど、ディレクター2〜3年目だと全部持つにはさすがに辛いところがあるかもしれないね。
逆に2〜3年目だと上司がいるはず。
やっぱり上司とか周りの人も使ってなんぼだと思うんですよね。
「理解できなかったな」とか「これはあの人のやつだな」と思ったらビビらずに人に振って良いと思うな。
上司が自ら間に入ると助けている感が出ちゃいますけど、ファシリテータ自身が話を振ることができればちゃんと司会をしていると感じられますね。
そうだね。
例えば、「プロジェクト発足の経緯」とか「現状の課題」「目指す姿」みたいな全体を把握できていれば急な話でも対応しやすいけど、そういうのってどうしても若手だとまだ理解が浅いはず。
だからファシリテーターから上司に「これどうなんですかね」とか「ちょっとまとめてもらっても良いですか」って振ると良いよね。
「技術的・知識量的に分からない」という場合は「自分は専門分野外なので分かっている人たちに判断をゆだねます」と言っちゃうのも良いね。
僕も「どう思います?」って聞かれた時は、分かりそうな他の人に「どう?」って聞いてしまって良いと思いますよ。
「考え方っていろいろなんですよね」って言って、別のお客さんに「どう思いますかね?」とか「ちょっと首かしげていた様に見えたんですけど、何かコメントありますか?」って打ち返すとかね。
ほぉー!司会者ムーヴですね。
実際にみんなの意見は聞きたいし、そういう交わし方は重要そう!
返し方だと「ケースバイケースなんですよね」も使えますよ。
何か言ってそうで何も言ってないやつ!笑
でも、返し方のバリエーションがたくさんあるのは重要だよね。
オウム返ししかできないと「またか」って印象になるけど、別の返答ができれば飽きないし、その時間に頭の整理もできるね。
あとは、もしこの方が単純に「会話のスピードが速くてついて行けない」のであれば、うわーって盛り上がったときに「あ、ちょちょちょ……ちょっといいですか。これってー」みたいに自分がゆっくりなテンポで会話を挟むのも自然に速度を落とせていいですよ。
自分が理解できて段取りしやすいスピードに落として会話をしてもらうのが一番だよね。
直球で「ゆっくり話してください」と言いづらければ、「今の、かいつまんでもう一度お願いします」って返してみるとか、自分に余裕があれば「こういうことですか?」って整理してみるのはどうかな?
小まとめ
- 上司を使おう
- 返し方のバリエーションを持っておこう(以下は例)
- 「専門分野の人に話しを聞いてみますね」
- 分かりそうな人に「どう思いますか?」
- 「ちょっと反応したそうに見えたんですが、何かコメントありますか?」
- 「ケースバイケースなんですよね」
- ゆっくり話してもらう方法(以下は例)
- 自分がゆっくり話す
- かいつまんでもう一度話してもらう
- 自分に余裕があれば「こういうことですか?」と整理して繰り返す
3.オンラインミーティングならではの対策
内部チャットの活用と、サブファシリテータの役割
最後に、最近だとオンラインミーティングが多いと思いますが、【オンラインミーティングならではの対策】ってありますか?
基本的には今まで出てきた方法で解決できると思いますけど、
さっきの「分かりそうな人に話を振る」ときに、内部のチャットツールで「今から話振りますね」って言ってから振るとスムーズですね。
振られる側も心構えができるから、チーム全体として振る舞いに違和感が出ないですよ。
焦ってると見られないこともありますが、余裕があれば内部チャットは使えますね!
三國くんはオンラインミーティングで何か工夫していることはあるの?
僕のチームでは、ミーティングはそもそもみんなで協力するものとしていて「サブファシリテータ」を取り入れているんです。
だから、自然とミーティング中に過去の資料を調べてサッとチャットで送ってくれるなど、サポートしてもらっていますね。
さらに事前にすり合わせできれば、ファシリテータと周りの人みんなで「こういう風に回して、最後はこういう持ち帰りをする」みたいな話をしておけると、さらに連携できます。
こういう活動があると信頼を損ねずにいられると思います。
いいね。リアルでもオンラインでも、一人で戦う必要はないよね。
小まとめ
- オンラインでも基本的にはオフラインでのポイントと同じ
- チャットが使える環境を活かして、チームでサポートし合おう
4.まとめ
今日出てきた工夫ができれば、会話進行が速くてついていけないことにそんなにひけ目に感じなくて良いんじゃないかな。
自分のスタイルにあったものを選んで、自信持って行こう!
おさらい
- ファシリテーションの基本
- 事前準備
- who と when を決める
- 想定外の議題でも対応できるよう、ヒアリングのフォーマットを用意しておく
- ファシリテーションのtips
- 喋るだけではなく、書くことで進行する
- 人に頼る
- 返し方のバリエーションを持っておく
- ゆっくり話してもらう方法
- オンラインミーティングならではの対策
- 基本的にはオフラインでのポイントと同じ
- 内部チャットを活用する
- チームでサポートしあう
ここまで読んでいただきありがとうございました!お悩みをお持ちの方はぜひ投稿お願いします!
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