【セミナーレポート】UXファシリテーター育成講座〜その2〜(プラグマティックペルソナとマイクロカスタマージャーニー、UXDコンセプトシートワークショップ編)

公開日: 2019.11.14更新日: 2024.11.11

こんにちは、村田です。
前回(UXファシリテーター育成講座に参加してきました【セミナーレポート】〜前編〜)に続き、ディレクターの鈴木と村田が参加した、インプレスさん主催のUXファシリテーター育成講座で学んできたことをご紹介します。
後半は2つの講義をご紹介します。それでは早速本編です!

1. プラグマティックペルソナとマイクロカスタマージャーニーをつくろう

「ペルソナにいまいち納得感がない」「作ったけど結局使わなくなってしまった」
このような悲しい状況を回避する手段として、プラグマティックペルソナ手法を学びました。
プロジェクトの関係者たちは、言語化・視覚化できていなくても脳内にそれぞれのペルソナ像を持っているものです。その脳内ペルソナと、出来上がったペルソナの間にズレがあると、納得感が得られず、結局使わなくなってしまいます。
それなら、関係者の思惑が全てが入った最大公約数的なペルソナが作れれば、みんなに納得感があり使われるようになるのでは、というのがプラグマティックペルソナの考え方です。

つまりプラグマティックペルソナとは?

プロジェクトの関係者が思い描くユーザー像を具現化し、最大公約数的な人物像に落とし込んだものです。このペルソナを、判断の根拠にしたり、リリース後の差分検証に使ったりと、プロジェクト関係者の合意用の資料として使用します。
講義内ではプラグマティックペルソナを作るために、関係者の最大公約数を出すための「エンパシーマップ」、「エンパシーマップ」で作った人物像が本当に人間として成立するのかを検証する「マイクロカスタマージャーニー」を作るワークショップを行いました。

エンパシーマップ

共感マップとも呼ばれるそうです。ペルソナが「積極的に見ているもの」「受動的に聞いているもの」「考えること」「やっていること」を一枚の絵に書き出すことで、どのような状況に置かれていて、どんな感情を持っているのか理解できる手法です。
みんなで付箋を出してエンパシーマップを作ることで、共通理解やすり合わせを促進させるだけでなく、みんなの意見が入った人物像になっていくのですね。
ワークショップ後半では、他の人が書いた付箋に対して、「分かる〜、この人ならやるよね〜」という感想を持つようになり、共通認識がすりあってるなぁという実感がありました。

マイクロカスタマージャーニー

エンパシーマップで作った人物を検証する目的で、朝起きてから就寝まで、その人の1日の生活を時間軸で追い、矛盾がないか、1日きちんと動かせるかを確認します。ここでうまくいかないと、実はエンパシーマップの中の付箋出しが足りていなかったり、矛盾が整理しきれていなかったり、要は深く考えられていない、ということが分かるそうです。
検証が目的とは書きましたが、実際にはその人の1日の流れの中で、サービスとの新たなタッチポイントを考えたり、機能が響きそうなポイントを考えるためにも使えそうです。
このマイクロカスタマージャーニーは、平日、土日、3ヶ月後のある日、など量産ができるのも特徴で、量産した1日の中からサービスの新しい取り組みが考えられるいいきっかけになるといいなと感じました。

プラグマティックペルソナ

エンパシーマップに貼ってある付箋の言葉を組み合わせて、ペルソナのフォーマットに合わせて文章化します。文章化することで、後から入ったプロジェクトメンバーへの理解を促進させることができますね。
このように進めることで、関係者の思惑が全て入った、みんなで共通理解のあるペルソナが作れるそうです。

この講義のポイント

  • コストや時間がかけられない時は、プロジェクト関係者の合意を目的としたプラグマティックペルソナを作ろう
  • エンパシーマップで、関係者の意見を出し切り、共通認識をすり合わせよう
  • マイクロカスタマージャーニーで、実際の人物として存在できるか検算しよう

2. シナリオを書くためのUXDコンセプトシートワークショップ

こちらの講義では、発想したアイデアを元に理想的な体験を考えるための手法として、アクティビティシナリオの作り方を学びました。
UXDの中でシナリオ作りは重要な反面、アクティビティシナリオは難易度が高く、ワークショップで実施してもうまくできないことが多いそうです。
このワークショップでは、うまくできない課題をなるべく取っ払って、考えやすいように設計してくれていました。

UXDコンセプトシート

まずはUXDコンセプトシートを作成します。(UXDコンセプトシートの詳細は、安藤先生のUXデザインの教科書で紹介されています)
事前にサービスのアイデアが用意されていたので、そのサービスを使う前、使用中、使用後、使い続けた時の心の声をUXDコンセプトシートに記載していきました。
心の声を書くだけでも結構難しく、私が参加した班は用意されたサービスから少しだけ具体的にアイデアを膨らました後、もう一度心の声の書き出しに挑戦しました。

アクティティシナリオ・プロット

UXDコンセプトシートができたら、とあるシーンを設定し、心の声を手掛かりに、「タスク」・「ユーザーの行動」・「機能やアイデア」の順で付箋を出していき、シナリオの骨格を作っていきます。
また、付箋を出した後、ユーザーの行動をし続けた結果、心の声に達成するのか検証もします。
「ユーザーの行動」には具体的な機能や画面の内容を書かないことがポイントなのですが、このポイントを意識しながら「ユーザーの行動」を考えることが慣れるまで難しかったです。
しかし機能に寄らない「ユーザーの行動」の付箋を出せたからこそ、次に考えた「機能やアイデア」が広がった部分も多く、シナリオ作りの難しさ、重要性を感じました。

この講義のポイント

・UXDにおいてシナリオ作りはとても重要(だけど難しい)

・具体的な機能やアイデアに至る前に、UXDコンセプトシートでアイデアと心の声を整理しよう

・心の声を手掛かりに、アクティビティシナリオを作ってみよう

最後に

講座の紹介は以上となります。
どの講義も駆け足ではありましたが非常に密度が濃く、ワークショップも多いのでずっと頭を働かせっぱなしな1日でした。
私が参加したグループは、メンバーに恵まれとても盛り上がるいいワークショップが経験できました。この場を借りて感謝申し上げます。
今回得た知識を業務に活かし、今まで以上に皆さんのお役に立てられるよう精進していきたいと思います!

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村田 歩美
村田 歩美
HCD-Net認定 人間中心設計専門家。SIerでの業務経験を経てシナップへ入社。UXデザインを中心にマルチに活躍するディレクター。大阪生まれ東京育ち。猫と果物が好き。

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