コロナ禍で加速するサービス?!ライブコマースとは〜アパレル業界の事例をご紹介〜
こんにちは。ディレクターの小石川です。
突然ですが皆さんは「ライブコマース」ということばをご存知ですか?
知っているよ〜!という方も多くいらっしゃると思うのですが、ライブ配信とEコマースを掛け合わせた新しい販売形態、それが「ライブコマース」です。
実はこのライブコマース、コロナ禍の影響もあって日本で急速に普及しているんです。
そのため今回は、アパレル業界を事例とした直近のライブコマース事情をご紹介しようと思います。
アパレル業界と新型コロナウイルス(COVID-19)
現在、アパレル業界では、新型コロナウイルス(COVID-19)の影響で閉店や減収が続いています。
帝国データバンクの調査によると、アパレル上場企業かつWebサイトなどで月次売上高を公表している24社のうち、2021年2月の月次売上高が前年同月比を下回っている企業は、18社にのぼることがわかりました。
大手アパレル企業の閉店も相次いでいて、ワールドは約350店舗、TSIホールディングスは約200店舗、三陽商会は約160店舗、オンワードホールディングスは1400店舗を閉鎖することを発表しました。
そんなアパレル業界で今急速に普及しているのが、「ライブコマース」です。
ライブコマースとは?
ライブコマースとは、ライブ配信で商品をアピールし、ユーザーとリアルタイムで交流しながら、商品を販売できる新たな通販形式です。
視聴者がライブ配信を通して、リアルタイムで質問やコメントをしながらショッピングができる、というのが特徴です。
アジアではライブコマースはすでに浸透しており、トランス・コスモスが実施した「アジア10都市オンラインショッピング利用調査 2021」によると、東南アジア・中国・インドを中心とした9都市でのライブコマースの認知度は7割を超えているという調査もあります。
また、ハノイ・バンコク・ムンバイでは、ライブコマースを利用して商品を購入したことがある、と回答した人が5割を超えるということもわかりました。
また、アジアの中でも特に中国はライブコマースの先進国と言われており、コロナ以前からライブコマースが定着していました。
2020年3月時点では、5.6億人のユーザーがライブコマースを活用しているというデータもあります。
中国で普及している理由としては、インターネットを利用する人口が多く、スマホの普及率も高いことに加え、Key Opinion Leaderと呼ばれるインフルエンサーが紹介する商品であれば安心・安全と感じ、購入に至るユーザが多いためとのことです。
それでは日本はというと、「アジア10都市オンラインショッピング利用調査 2021」によると、東京での認知度は低く、「ライブコマース」を知る人はわずか13.7%と低い結果が出ています。
しかし、コロナ禍の影響もあって日本でもライブコマースが注目されつつあります。これから日本でも「ライブコマース」が広く知られていくのではないでしょうか。
ライブコマースを活用する日本企業
上記でお話したように、ライブコマースを活用する日本企業は、特にアパレル業界において急速に増加しています。
実際に、アパレル業界売上高ランキングの上位10社を調べたところ、しまむらを除く9社がライブコマースを使っていることがわかりました。
ほとんどのアパレル・ブランドが何かしらの方法でライブコマースを活用しているようでした。
アパレル業界売上高ランキング上位10社
ライブコマースは大きく3種類
一言にライブコマースといえど、大きく分けて3つの種類があります。
- RakutenやYahoo!ショッピングなどのECモールが提供しているライブ配信機能を使って行う「ECモール型」
- InstagramやfacebookなどのSNSのライブ配信機能を活用する「SNS型」
- ライブ配信機能を提供しているサービスを自社サイトに埋め込んで使う「SaaS型」
本日お話しているアパレル業界ではSNS型とSaaS型が主流ですので、今回はその2つについて紹介していきます。
SNS型
SNS型は手軽に始めやすいというのが一番の特長です。
InstagramやFacebookのアカウントさえ持っていれば、誰でも無料でライブコマースを始めることができ、また、フォロワーへのアプローチがしやすい点がメリットです。
しかし、あくまでInstagramなどのライブ機能を活用するので、そのまま商品を購入できるような決済機能はついておらず、商品購入までのスムーズな導線を用意することもできません。
商品への導線や決済機能がついていないので、視聴したユーザーがその後商品を購入したかどうか?などを知ることも難しいといえます。
SaaS型
SaaS型は商品購入までの流れがスムーズであることが特長で、TAGsAPIやLive kit、HandsUPなどがサービスとして有名です。
自社サイトにライブ機能を埋め込むため、ライブ配信の画面から紹介された商品ページに進み、購入まで行うことができます。
ライブ視聴から商品購入までが自社サイトで完結するので、売上やユーザー行動のデータを取得して、分析することも可能です。そのため、本格的にライブコマースを実施したいと考えている企業に向いています。
デメリットとして考えられるのは、自社サイトにライブ機能を実装することになるので、時間やコストがかかってしまうこと、また、SNS型と比較するとライブ告知に工夫が必要なことです。
SNS型のライブの場合は、インスタグラムなどのプッシュ通知やストーリーズなど、ライブを行うツール上で告知ができますが、SaaS型の場合には、メルマガや自社アプリでのプッシュ機能、SNSで事前告知をするなどをして、視聴者を集める必要があります。
SNS型・SaaS型の導入率
SNS型に関しては、Instagramなどのアカウントを持っている企業/ブランドであれば、一度は配信したことがあるのでは?というほど、SNSでのライブコマース実施率は高いです。
一方、SaaS型は、導入に費用と時間がかかるのでSNS型ほど導入は進んではいないようです。
しかし、大手のブランドやデパート、大型商業施設などではSaaS型でのライブ配信を頻繁に行っています。
また、ユニクロやGUなどを展開するファーストリテイリングでは、2020年12月からSaaS型のライブコマースをスタートさせました。
今後、SaaS型を利用する企業が増えていくのではないでしょうか。
ベイクルーズ SaaS型ライブコマースの例
また実例として今回は、ライブコマースで商品は売れているのか?を、アパレル大手ベイクルーズのSaaS型ライブコマースを例に調べてみました。
ベイクルーズは「LIVE STYLING」という名前でライブコマースを行っています。
調べてみたところ、ライブ配信の時間は、20時から1時間前後、頻度は週2回程度で水曜と金曜の配信率が高いことがわかりました。
動画の視聴数は平均で4,500〜5,000、最大で8,900という視聴数を獲得したこともあるようです。
また、ライブコマース経由での売上に関しては、最大売上は2,400万円で、これは自社EC売上の約6%にあたるということです。
顧客満足度も89%と好評価で、ユーザーからも支持を得ていることが伺えます。
ベイクルーズは自社ECサイトに力を入れているということもあり、ライブコマースも積極的に活用して売上につなげていることがわかりました。
まとめ
以上、アパレル業界のライブコマース事情についてお伝えしました。 ライブコマースは、まだまだ日本では新しい形態ですが、今後発展していく見込みも高い市場かと思いますので、ぜひ参考にしていただければ幸いです。