よくわかるIoTの仕組み 基本的な構成要素とデバイスの役割

2015.11.19
  • Web技術

こんにちはシナップ大川です。
SINAPでは月に一度、スタッフみんなでお弁当を食べながらカジュアルに行う勉強会「ランチ勉強会」を行っています。
先日はデザインチームによるIoTをテーマにした勉強会を行いました。前半は講義、後半は実際に"littleBits"という電子工作キットを用いたデモを行いました。

"littleBits"を使ったデモの様子についてはこちらをご覧ください。

"littleBits"を使ってSINAPデザインチームでIoTデモ作品を実際に作ってみた!

今回は前半に行った講義の一部を前編と後編の2度にわけてまとめたいと思います。
はじめに前編である今回はIoTのアーキテクチャ(構成)とその構成の一端であり「モノのインターネット」の「モノ」にあたる「デバイス」について見ていきたいと思います。

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そもそもIoTとは

これをお読みの方にとっては今更かもしれませんが、IoTとは「Internet of Things(モノのインターネット)」の略で、様々なモノがインターネットにつながり、色々便利な世の中がくるよ、という話です。
一説にはIoT市場は2020年には約365兆円市場になるとも言われています。

ではモノがインターネットにつながるということはどういうことか、、、
これも良くでる例え話ですが、スマートフォンのGPS機能を利用してユーザーが家に近づくと自動的にエアコンやお風呂のスイッチがオンになるなど、ネットワークとモノとが連携したサービスが思い浮かびます。

一方でIoTと聴いた時、私たちが想像出来ることは実はこのくらいではないでしょうか。「様々なことが出来るようになる」「なんとなくスゴそう」とその捉え方は抽象的で、大きなビジネスチャンスになるという話も「へー」という感じしかしないかもしれません。
「IoTはもはやバズワード」という人もいますが、まさに今は期待だけがふくらみ、実態がない、そんな状態にも感じます。

これは1990年代、インターネットの話題が大きく出始めた頃に似ていると感じるのは僕だけでしょうか。1990年代、「インターネットがこれから来そう」「インターネットは世界を変える」「インターネットは第3の産業革命だ」と言っていた頃のようにも映るのです。

話題性を超えて

今回の講義ではこうした曖昧なIoTの大きな話ではなく、IoTと呼ばれるサービスは具体的にどのような技術が使われ、どのような仕組みで動き、そして最も重要ですが、自分達にとってどう関係してくるのか、この点について勉強してみました。
「インターネットは本物か?」と大人達が議論していた間に、面白いからとこの技術に手を出した青年がやがて業界をひっくり返すようなビジネスを生み出したなんて話がゴロゴロしているIT業界、「IoTはバズワードか?」の議論の間に、ちょっとその仕組みを具体的にのぞいてみることにしましょう。

IoTサービスの基本アーキテクチャ

IoTサービスには様々なものが考えられます。照明やスマートロック(鍵)のような家電もあれば、お店や飲食店で使われる製品、農園や工場、あるいは地域の課題解決を担うようなサービスまで様々です。
一見これらは別々の複雑なシステムで成り立っているように思われますが、単純化してみると基本的な構成は一緒だといえます。

IoTサービスの構成は大きく分けてデバイス、ゲートウェイ、サーバーの3つに分けられます。

デバイス

まずはデバイスについて見ていきましょう。
デバイスは「モノのインターネット」の「モノ」の部分にあたり、文字通りIoTにとって重要な部分です。

デバイスの役割

デバイスの役割は大きく2つあります。センシングとフィードバックです。
センシングはデバイス自身の状態やその周辺環境の状態の情報を収集してシステムに通知する仕組みをいいます。 そしてこのセンシングを実現するのが、センサと呼ばれる電子部品です。
センサには画像センサ、光センサ、温度センサ、湿度センサ、加速度センサ、磁気センサなど様々なものがあります。またこれらの組み合わせによってより複雑な状態を測定することが可能になります。

ところで今お持ちのスマートフォンにはこうしたセンサがたくさん入っているのをご存知でしょうか?加速度センサやジャイロセンサ(傾き)、照度センサー、GPS、カメラ、マイクなどなど、現在のスマートフォンはセンサの塊と言ってもよいくらいのたくさんのセンサでできています。
手のひらにおさまるサイズで、しかも私たちがその塊を購入可能になっていることからも分かる様に、センサの小型化、小消費電力化、小コスト化は通信の整備と同時にIoTを実現する土壌となっています。

さて、デバイスのもう一つの役割がフィードバックです。
フィードバックはシステムからの通知を受けて、情報の表示や動作を行います。
このフィードバックは大きく分けて3種類に分類出来ます。
可視化、通知、制御です。

可視化は画面で確認出来たりするもの、通知はある条件にはまった場合お知らせがくるもの、制御はある条件にはまった場合、環境やデバイスの状態を変化させるものです。
例えば職場から自宅の水槽の水温が何度かをPCで確認するという場合は「可視化」、雨が降り始めたら洗濯物を取り込むようスマートフォンにプッシュ通知が来るが「通知」、先ほどの例にも出た利用者が家に近づくと自動的にエアコンが動作するものが「制御」となります。

ちなみにIoTと同じくらい頻出する言葉に「M2M」という言葉があります。
勘のいい方であればピンとくるかもしれませんが、M2Mは「Machine to Machine」の略で「利用者が家に近づくと(GPSで判断)勝手に自宅のエアコンに通知して、勝手にエアコンが制御される」ように、モノとモノの通信を言います。
M2MはIoTと同義使われることもありますが、厳密にはIoTの概念の一部です。

IoTに出来ること

さてここまでくると分かることがあります。一見何でも出来る夢の技術IoTはその出来ることを大分類すると3つしかありません。

モノ(センサ) → 人(可視化・通知)
人 → モノ(制御)
モノ → モノ(制御)M2M

実際には一つのデバイスからではなく、たくさんのデバイスから送られてくる、たくさんのデータを活用することによって提供できるサービスなども考えられるので、上の図ほど単純ではありませんが。。。

しかし、IoTのサービスを考える時にはこの「どのような情報を得てどのように返すのか、そのためにどのようなセンサやデバイスを利用すればよいのか」を考える必要があります。
上の3つの流れをふまえるとサービスを考える時整理しやすくなるのではないでしょうか。

デバイスの心臓部

勉強会ではさらにデバイスの心臓部とも言えるマイコンボードについてArduinoなどを例にとりながらその構造や様々なセンサについて触れました。
また手軽に入手可能でプロトタイピングに利用される様々なマイコンボードの紹介を通して、曖昧で抽象的で大きな話ではなく、実際に触れることの出来るモノとしてのデバイスについて勉強しました。(専門的なので今回はこの部分は割愛します。)

冒頭であげた"littleBits"を使ったデモもこの流れで行いました。
"littleBits"はレゴのようにパーツを組み合わせるだけで作れる電子工作キットなので、IoTが気になっているけれども、機械は難しそう...と思っている非エンジニアの方の導入にもってこいではないでしょうか。

さて、少し長くなりましたので、ここから先の話は次回に回したいと思います。

次回はIoTサービスの基本アーキテクチャであげた「ゲートウェイ」のお話といよいよインターネットが絡んでくる通信やそこで使われている技術についてお話したいと思います。

【後編】よくわかるIoTの仕組み 「モノ」とインターネットを接続するには

『絵で見てわかるIoT/センサの仕組みと活用 』(株式会社NTTデータ )

今回の勉強会の内容はこちらの本を参考にしています。
図解も多く、説明も丁寧で分かりやすいので、この記事を読んで、もう少しIoTに詳しく知りたいという方にオススメします。特に非エンジニア、デザイナーの方などにオススメです。

最後に

シナップでは積極的にIoTのプロジェクトに関わりたいと考えています。
私たちに出来ることはまだ限られていますが、これまでのサービス構築経験を活かして、サービス全体の設計から、UXデザインや、UI、アプリケーション開発などのお手伝いをしています。
お困りのことがあれば、ぜひお気軽にご連絡ください。


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シナップはサービスの継続的な成長をサポートするデザインコンサルティングです。戦略的から制作・開発、そしてサービスのグロース・運用まで、すべてのワークフローにおいて支援が可能です。
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大川 貴裕
大川 貴裕
Webサイトをはじめ、企業のブランドデザイン、CI/VI開発、グラフィックデザインなど幅広い分野で活躍している。国際的なデザインコンペティションほか受賞多数。近年はWebデザイン専門学校などでUXデザインの講師も行う。

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