WordPressからmicroCMSへの移行メリットと移行方法

公開日: 2024.09.19更新日: 2024.11.27

こんにちはシナップ大川です。

WordPressは、オープンソースのコンテンツ管理システム(CMS)として、世界中で最も広く利用されているメジャーなCMSです。
その人気の理由の一つは、基本的に無料で利用できるというコスト面の優位性。さらに豊富なテーマやプラグインを利用して柔軟にWebサイトを構築できる点があげられます。
しかし、WordPressでサイトを運用されている方であれば、少なからず共通の課題をお持ちだと思います。
それがセキュリティ対策の課題とそれにともなうコスト増です。

WordPressは、人気が高いため、サイバー攻撃の標的となることが多く、長期的な運用においては、アップデート作業やプラグインのセキュリティ管理が大きな負担となることも少なくありません。
低コストだから導入したはずなのに「アレ?」という場合もでてきます。
この煩雑さと思わぬ支出が特にビジネスでサイトを運営している方にとって頭の痛い問題です。

シナップに寄せられるご相談でもWordPressのこうした課題から、リニューアルなどを機に、他のCMSへの移行、特に最近ではmicroCMSへの移行を検討されるご相談が増えてきました。
そこで今回はWordPressでのサイト運用の課題とmicroCMSへの移行のメリット、そしてWordPressからmicroCMSへの移行方法について解説していきたいと思います。
検討されている方はぜひ参考にしてみてください。

WordPressの課題

セキュリティリスクと管理負担

WordPressの最大の利点はオープンソースであることですが、その反面、先にも挙げた通り、セキュリティリスクが大きな課題となります。
世界中で使用されているため、サイバー攻撃の標的になる確率が高く、特に、WordPressの豊富なプラグインは利便性を提供しますが、同時にセキュリティホールにもなりがちです。
プラグインが最新のセキュリティパッチに対応していない場合、悪意のある攻撃者に狙われるリスクが高まります。
また、セキュリティ対策として定期的なアップデートが必要です。これらのアップデートを適切に行わないと、脆弱性が放置され、ハッキングやデータ流出につながる危険性が増加します。WordPressサイトの運営者にとって、アップデートの管理は負担となり、場合によっては専門の技術者に依頼する必要があり、そのたびに費用がかさむこともあります。

サーバー負担とパフォーマンスの問題

WordPressは基本的には動的なCMSであるため、アクセス時にデータベースから必要な情報を取得し、それをもとに都度ページを生成します。これにより、サイトのパフォーマンスがサーバーに大きく依存することになります。
サイトが成長し、トラフィックが増えると、サーバーの負荷が高まり、サイトの表示速度が低下することがあります。
パフォーマンスの問題を解決するためには、プラグインなどを用いてページを静的生成にする方法や、専用サーバー、クラウドサーバーへの移行が必要になることもありますが、これには追加のコストが発生する場合があります。

microCMSとは?

microCMSは、国産のヘッドレスCMSであり、APIを通じてコンテンツを管理する仕組みを採用しています。WordPressなどの従来のCMSとは異なり、バックエンドとフロントエンドが分離しているため、フロントエンド開発者がReactやNext.jsなど、最新のJavaScriptフレームワークを自由に使ってウェブサイトを構築できます(逆を言えばmicroCMSの他に、フロントエンド環境は別途必要です)。

この分離構造により、セキュリティとパフォーマンスが強化され、WordPressに比べて管理負担が軽減されるとともにパフォーマンスの向上が期待できるという特徴があります。
また、microCMSはクラウドベースのシステムであるため、CMSのホスティングやそのサーバーの管理の煩雑さもありません。

詳しくはこちらの記事もあわせてお読みください
「microCMS」導入を徹底解説!メリット・デメリット、料金体系、適切なプランの選び方、最後に相談できる会社の見つけ方まで!

WordPressとmicroCMSの違い

1. サービス提供元とサポート体制

WordPressはオープンソースで、世界中の開発者コミュニティによってサポートされています。コミュニティは活発で、ドキュメントも豊富ですが、基本的には自助的に問題解決を図る必要があり、迅速なサポートが必要な場合には難があります。任されている制作会社さんやエンジニアさんの力量にかかる部分が多いともいえます。
一方、microCMSは日本国内の企業が提供するサービスで、公式サポートがあり、問い合わせに対しても迅速かつ的確な対応が期待できます。特に、日本語でのサポートが整っている点は、国内企業にとって大きな利点です。

2. 構築方法

WordPressは、テーマやプラグインを用いてサイトを構築しますが、これにはある程度のWordPressの技術的な知識が必要です。さらにカスタマイズを行う場合には、PHPやJavaScriptの知識が求められることが多くなります。
一方、microCMSはAPIベースで動作し、フロントエンドとバックエンドを分離しているため、フロントエンドの開発者はフロントエンド開発に集中できます。
さらにこの分離によって、フロントエンド開発者はReactやNext.jsといった最新の技術を使ってサイトを構築できるため、開発の柔軟性を高め、サイトのパフォーマンス向上にもつながります。(ただし、ヘッドレスCMSの特性を活かすフロントエンド開発を行う場合、比較的新しい技術的な理解が求められることも多くあり、こちらはこちらで、これに対応できるエンジニアが必要です。このあたりは一長一短なところがあります)

3. セキュリティと運用負担

先にもあげた通り、WordPressは、多くのプラグインを使用することが前提となるため、セキュリティホールが発生しやすく、定期的な更新作業が必要です。また、ホスティングやサーバー管理も利用者側で行わなければならず、その負担は少なくありません。
microCMSでは、クラウドベースでシステムが管理されているため、セキュリティ対策が強固で、プラグイン管理も不要です。ユーザーは、フロントエンド開発に集中でき、サーバーの管理やセキュリティ更新といった運用負担が大幅に軽減されます。

移行するメリット

1. セキュリティの向上

microCMSをはじめとするヘッドレスCMSはフロントエンドとバックエンドを分離し、コンテンツ管理やデータの操作はすべてAPIを介して行います。このアーキテクチャによって、サーバーサイドでの攻撃リスクが低減されます。
また、microCMSはクラウドベースで管理され、セキュリティ面での対策がmicroCMSの提供元によって常に行われています。これにより、プラグインなどの脆弱性に悩まされることがなく、安心して運用が可能です。

2. コストの削減

WordPressはオープンソースで無料ですが、プラグインやテーマの購入、サーバーの維持費、セキュリティ更新に伴うコストが積み重なります。どのようなサイトを運営されているかにもよりますが、microCMSに移行することで、運用負担やサーバー管理のコストを削減できる場合があります。

コストの試算方法については以下の記事も併せてお読みください
どのプランを選べばいい? microCMSの料金プランと選び方

3. 運用の簡素化

microCMSはプラグインの管理が不要で、クラウドベースの運用ができるため、運営者はサイトの更新やメンテナンスに専念できます。また、開発者にとってもフロントエンドの自由度が高く、カスタマイズが容易になります。

4. パフォーマンスの向上

WordPressは動的なコンテンツ生成によりサーバーに負荷がかかりやすいですが、microCMSはAPI経由でコンテンツを提供するため、静的なウェブサイトを簡単に構築でき、パフォーマンスが向上します。

このように、セキュリティやパフォーマンスの向上、場合によってはコスト面でも期待ができるため、microCMSに魅力を感じることは多いのではないでしょうか。
もちろんmicroCMSにできないことも多く、WordPressが優れている点も多々あります。
ご自身の運用されるサイトはどちらが向いているか、じっくり検討されるのが良いと思います。

WordPressからmicroCMSへの移行方法

それでは移行方についてみていきましょう。
まず、現時点(2024年9月20日)でmicroCMSに他のCMSから一括でデータをインポートする機能はありません。
現時点での移行はある程度自分たちで工夫して行わなければならないのが現状です。

ただし、microCMSではWordPressからの移行を簡単にする機能を開発中とのアナウンスがでていますので、近い将来(予定では「1年以内」とされています)、より簡単に移行が可能かもしれません。急がない方はそれを待つというのもひとつです。
microCMS 開発ロードマップ

さて、この記事をここまで読んだ、待てない方のためにつづけます(笑)。

移行方法はひとつではありませんが、ここでは、一般的な方法としてWordPressから、CSV形式でエクスポートしたデータをmicroCMSにインポートするという方法、またはmicroCMSのAPIを利用してインポートする方法をご紹介します。

CSVを利用した移行は、主に記事、カテゴリ、メディアなどのコンテンツを手軽に移行できる方法です。
基本的な流れは以下の通りです。

WordPressからのデータエクスポート

まずWordPressのエクスポート機能やプラグインを利用して、必要なコンテンツ(記事、カテゴリ、画像など)をエクスポートします。
エクスポートするデータは、CSV形式に変換するプラグインなどを活用することが一般的です。
(WordPressのエクスポート機能を利用する場合、エクスポートされるデータはXML形式となり、エクスポート後、CSVに変換が必要です。この時、XMLとCSVはデータの構造が異なるため、どのように整理してCSVに落とし込むかは考慮する必要があります。変換ツールもいろいろありますが、うまくいかないケースもあるため注意が必要です。)

データの整形

エクスポートしたCSVデータは、そのままではmicroCMSにインポートできない場合があるため、必要に応じてさらにフィールドやデータ形式を整形します。
特に、カテゴリ、タグ、画像のパスなどを正確に移行するためには、microCMSのフィールド構造に合わせる必要があります。
またコンテンツ記事内にHTMLやスクリプト、CSSなどが直接記載されているケースがあります。こうした場合、単純な読み込みでは正しく表示されない場合があるので注意が必要です。特にページ数の多いサイトの移行では、一見統一されたデータのように見えて、時折、更新者のその場しのぎで入れられたと思われるソースが混在していることがあります。
エクスポートしたCSVデータの整形時にイレギュラーなケースがないかを確認することも大切です。

microCMSのCSVインポートによるインポート

この方法がおそらくもっとも簡単な方法ですが、いくつか制約事項があります。
まず、microCMSでAPIをはじめて作る時のみ(0件の時のみ)にしか利用できません。すでに他のAPIがある場合はこの方法が使えません。
また、プランによって一度に登録できるコンテンツ数に上限があるため、大量のデータがある場合、登録できない場合があります。
さらに登録されたコンテンツの公開ステータスは選べない、「繰り返し」「カスタム」など対応していないフィールドがあるなどの制約もあります。

これらを踏まえたうえで、この方法が選択できる場合は、この方法が簡単です。

CSVインポートによるインポートではAPIを作成する際「インポートする」を選択するとCSVのアップロード画面がでてきますので、準備したCSVファイルをアップロードするだけです。データによっては数分程かかる場合もありますが、簡単にインポートすることができます。

詳しい方法はこちらもご参照ください
コンテンツのCSVインポート(microCMS 操作マニュアル)
https://document.microcms.io/manual/csv-import

microCMSのAPIを利用したインポート

前述の通り、CSVインポートは簡単ですが、プランによってアップできる件数が決められていたり、「繰り返し」「カスタム」など対応していないフィールドがあるなど制約があります。
こうした大量のデータがある場合や複雑なデータインポートが必要な場合はコンテンツAPIのWRITE API(POST/PUT)を利用してインポートします。
この方法は、microCMSのAPIを利用し、データを直接登録する方法で、大量のデータや複雑なコンテンツ構造を効率的に移行する方法としては最適です。
ただしある程度の知識が必要となるため、エンジニアの方にお願いするのがいいでしょう。

ここでエンジニア向けの詳しい方法を解説すると長くなってしまいますので、もう少し技術的な方法はmicroCMSのチュートリアルでも解説されているので参考にしてみてください。
WordPressからmicroCMSにコンテンツを移行するチュートリアル【準備編】
https://blog.microcms.io/wordpress-to-microcms-tutorial-preparation/

WordPressからmicroCMSにコンテンツを移行するチュートリアル【実行編】
https://blog.microcms.io/wordpress-to-microcms-tutorial-execution

microCMSに大量コンテンツを登録する方法まとめ(microCMS ブログ)
https://blog.microcms.io/how-to-register-a-large-amount-of-content/

その他のノウハウ

抜け漏れなく移行を行うための事前準備として、まずページリストを作成することをおすすめします。
この際、ページのURLを維持したい場合がほとんどだと思いますが、対応するURLも記載し、microCMS側で再現できるようにしましょう。

実際のケースではデータのエクスポート、インポートを使った移行ができない例外的なページもでてくる可能性があります。
どのページをデータで移行するのか、どのページは手動で移行するのか、どのページは移行しなくてよいかなどを、前述のリストを用いながら事前に決めておきましょう。

また移行期間中もサイトは更新が続くケースが多くあります。データに差分がでるため、移行期間中の差分の管理はしっかり行いましょう。

このように、WordPressからmicroCMSへの移行にはいくつかの手順が含まれますが、サイトの規模や内容に応じて適切な方法を選択することが重要です。
移行をスムーズに進めるためには、事前の準備と移行後の確認を十分に行い、データの整合性やURLを維持するための対策として、リダイレクト設定なども大切です。

シナップではWordPressを始めとした他のCMSからmicroCMSへの移行のお手伝いをしています

いかがだったでしょうか。今回はご検討中の方も多い、WordPressからmicroCMSへの移行メリットと移行方法について解説しました。
シナップではWordPressを始めとした他のCMSからmicroCMSへの移行のお手伝いをしています。
CMSの移行や新規導入をお考えの方は、お気軽にご相談ください。
CMSの移行とあわせてリニューアルを検討されるお客様、サイト運用を一緒に行える会社を探しているお客様も多くいらっしゃると思います。シナップでは、サイトデザイン、制作から運用など幅広く対応いたしておりますので、その辺りのご相談もお気軽にご相談ください。

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シナップはmicroCMSの公式パートナーとして、多数の実績を持つプロフェッショナル集団です。
CMS導入だけでなく、サイトデザイン・制作、さらには運用支援まで幅広く対応いたします。

リリース後も、ABテストなどのグロース施策を通じて、サイトの成長をサポート。公開をゴールとせず、サービスの成長を共に創り上げることがシナップの強みです。

お客様のご要件に応じて、最適なプランと技術選定をご提案します。まずはお気軽にご相談ください。

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大川 貴裕
大川 貴裕
Webサイトをはじめ、企業のブランドデザイン、CI/VI開発、グラフィックデザインなど幅広い分野で活躍している。国際的なデザインコンペティションほか受賞多数。近年はWebデザイン専門学校などでUXデザインの講師も行う。

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