【ヒューリスティック調査やユーザーテストなど】Webサイト・Webサービスの使いやすさを調査する代表的な方法6選

公開日: 2024.06.27更新日: 2024.11.29

こんにちは、シナップ村田です。
今回の記事では、WebサイトやWebサービスについて「使いやすさを調査・評価する方法」をご紹介します。

実は調査方法は様々あり、課題や目的に対して適切な方法を選ぶことが大切です。得られる成果だけではなく、しっかり取り組みたいこともあれば、まずはスピード重視で進めたい!など費用や期間の制限もありますよね。そこで今回は、代表的な方法6種類を『お手軽〜しっかり』に分類し、実施方法、得られる成果、どのように活かせるかをご紹介します。
皆様の方法の選定に役立つ内容となれば幸いです。

  1. 【お手軽】PageSpeedInsights
  2. 【お手軽】エキスパートレビュー
  3. 【中間】アクセシビリティチェック
  4. 【中間】アンケート
  5. 【しっかり】ユーザービリティテスト(ユーザーテスト)
  6. 【しっかり】ユーザーインタビュー


1. PageSpeedInsights

お手軽1つ目です。PageSpeedInsights(ページスピードインサイト)はGoogleが提供している無料のサービスです。
ブラウザ上ですでに公開されているサイトやサービスについて評価を行えるツールで、対象のページのURLを指定するだけで結果を得られます。
PageSpeedInsights サービスページ

PageSpeedInsightsの結果画面

パフォーマンス、アクセシビリティ、表示スピード、SEO、PWA化ができているか、などを評価します。
ユーザーがページを表示・操作できるまでにかかった時間や、メインコンテンツの表示時間、ソースコードにエラーがないか、画像が最適なファイルで配信されているか、さらにアクセシビリティ要件を見たせているかなどをチェックし、対応できていないものについて具体的に指摘が挙がります。
ユーザーから見える課題という観点では分かりませんが、表示スピードが適切か(表示スピードが遅いだけでユーザー体験が損なわれます)、ユーザーのネットワークに負荷をかけてないか、安心して使えるかといった重要なポイントで評価を受けることができます。

良い点

無料で誰でも利用できる

無料で使えること、専門的な知識がない人でも使えて結果が得られることなど、お手軽な調査としてはとても良い手法です。

評価結果されるためわかりやすい

点数で表示してくれるため、サイトやサービスの現状の評価が分かりやすいです。また、具体的な指摘もあるため、改善箇所や内容について対応が進めやすくなるでしょう。

注意点

評価対象がパフォーマンスに限られる

見た目や動線の設計、操作をしたときに感じる課題などは残念ながら分かりません。あくまでWebサイトやサービスのパフォーマンスの評価となります。

シナップでは、Webサイトの高速化・最適化を行うサービスもございます。ご興味があれば以下サービスページよりご確認ください。
Webサイト高速化・最適化

2. エキスパートレビュー

続いてお手軽2つ目。ヒューリスティック調査、認知的ウォークスルーなどとも言われます。UIの専門家が自らの経験をもとにサイトやサービスを操作して評価をする方法です。
ユーザービリティの原則やガイドラインに沿った評価、または普段ユーザーが操作している流れを専門家が体験して課題を発見する方法などがあります。
ここで出した課題は、サイトやサービスの改善や、サービスの現状の可視化としてリニューアルの資料に活かすことができます。
エキスパートレビューで出した画面ごと課題
エキスパートレビューのレポート

良い点

低コストかつスピーディに実施できる

例えばアンケートやインタビューのようにリクルーティングが必要だったり、アクセス解析のようにツールの設定が不要で、対象のページやフローを決めてしまえばすぐに実施できます。

サイトやサービスのリリース状態にとらわれない

リリース前のサービスやプロトタイプの形式でも調査が可能です、また、同じ視点で競合製品も調査することで、比較が用意にできるようになります。

注意点

実施者にスキルが求められる

どのような観点でチェックをすれば良いのかなど、実施者にUIやユーザービリティへの知識が求められます。
エキスパートレビューについては、以下のブログでチェックの観点をご紹介していますので興味があればご覧ください。
ヒューリスティック調査・分析とは 評価のポイントと実施方法について解説

調査・評価についてプロに相談してみたい!という方はシナップでもサービスを提供していますので、以下ページから詳細をご覧ください。
ヒューリスティック調査・分析

3. ウェブアクセシビリティチェック

中間1つ目です。ウェブアクセシビリティは、「誰もが、様々なデバイスで、環境に関係なくアクセスし利用できること」を意味します。全ての人がスムーズに使えるレベルを目指すのは現実問題として難しいですが、サイトやサービスの特性に合わせて適切なウェブアクセシビリティ規格と対応レベルを設定し、国際規格のWCAG2.1や国内規格であるJIS X 8341-3のガイドラインに沿ってチェックを行います。
出した課題を解決することにより、アクセシビリティへの向き合い方をアピールすることもできます。
参考:JIS X 8341-3の解説
ウェブアクセシビリティ目指すレベルの図

良い点

ウェブアクセシビリティ対応は今後求められていく

2024年4月1日より障害者差別解消法の改正内容が適用され、ウェブアクセシビリティを確保することが求められることとなりました。今後も業界の潮流として、対応が求められる・評価される傾向が続くと考えられます。


注意点

実施者にスキルが求められる

見た目だではなく、実装方法やキーボード・音声操作など、チェックする内容が多方面に及びます。また、ガイドラインの文章の解釈(結構お堅めに作られています)や解決方法の検討についてもUI・デザイン・実装経験が求められます。

シナップでは、ウェブアクセシビリティについて適切なレベルの検討や目標に向けた取り組みを実施するサービスもございます。ぜひご覧ください。
ウェブアクセシビリティ

4. アンケート

中間2つ目です。現在のサービスについての評価や印象、使いやすいと感じた点などの回答を募る方法です。
アンケート調査サービスの利用や、自分たちで回答者を集めることができる場合は、GoogleフォームやMicrosoft Formsの利用をすることが多いです。アンケートサービスを利用してお任せしてしまうか、自分たちで回答者を集めるにしてもオンラインで実施することが多く縛られることが少ないため、中間としました。
サービスの現状認識や、アンケートの回答がポジティブなものが多ければ、Webサービスの場合「満足度 90%」など営業資料に使えることもあります。
アンケートフォームと結果サンプル

良い点

定量データとして活用できる

多くの回答を得ることで、定量データとして使うことができます。
例えば、現状の使いやすさに関する評価を5点満点などでつけてもらうことで、満足度の評価を行うことができます。他にも、使いやすいと感じた理由の選択肢を設けることで、どの点で使いやすいと感じたか、などを確認することができます。(記述してもらっても良いですが、有効な回答が得られないかもしれません。)

注意点

コスト面での負担が大きい

アンケートサービスなどを使う場合は他の方法と比較してコストが高くなることが多いです。

ユーザーの細やかな行動や心理までは分からない

なぜ満足度が高いのか、もしくは低いのか、といった定性部分までは分かりません。また、選択肢によっては恣意的な質問にもなるため、適切に回答が得られているか怪しくなってしまうこともあります。定性の情報が知りたい場合は、インタビューやエキスパートレビューなどと合わせて実施することが望ましいです。

5. ユーザービリティテスト(ユーザーテスト)

しっかり1つ目です。ユーザーに操作をしてもらって、操作につまった点を質問・観察・ヒアリングします。
ユーザーが操作している姿を観察し課題を発見する方法と、ユーザーに考えていることを話してもらう方法(思考発話法)とがあり、使いやすさに関する生の声を拾います。一般的に5名程度で十分な洞察が得られるとされていいます。

良い点

ユーザーからの貴重な意見が得られる

実際のユーザーが操作をすることで、開発者では気付けない点や、自分たちの仮定が正しかったかを評価することができます。さらに、競合他社の製品の検証を同時に実施することで、他社と比較した優位点・課題点を見つけることができます。

注意点

リクルーティングや環境準備のハードルが高い

対象のペルソナであり、このようなテストに慣れていないユーザー(テストに慣れているユーザーの場合適切な反応が得られない可能性があるため)をリクルーティングするなど、なかなかハードルが高いことが多いです。
また、テストを行うための部屋や機材、もしくは被験者の端末でテストをする場合は録画しても問題ないような設定(様々な通知のオフなど)など、環境を整備する難しさもあります。

コスト面での負担が大きい

リクルーティングや準備などで発生するコストがあるため、他の手法として高くなることが多いです。

6. ユーザーインタビュー

こちらで最後、しっかり2つ目です。インタビュー対象者に、サイトやサービスを使ってもらいながら・もしくは使ってもらった後にインタビューを行います。
使用感、比較、感想をはじめ、潜在的な課題やニーズを深掘りします。アンケートやユーザビリティテストとの併用が効果的です。サービスの改善に活用できるだけではなく、ポジティブな意見はサービスへの声として紹介資料などに使うこともできます。

インタビュー用シート

良い点

ユーザーからの貴重な意見が得られる

ユーザビリティテストと同様で、ユーザーからの使いやすさの評価やサービス全体への印象、課題点などを直接聞けることです。

注意点

恣意的な質問にならないように注意が必要

ユーザーの回答を鵜呑みにしすぎないように、また恣意的な目線でユーザーから得たい回答を発言させないように、事前に質問の内容や順番を用意しておくことが大事です。

シナップではアンケート、ユーザーテスト、ユーザーインタビューなど、サービスの現状や課題の調査を行うサービスとして、UXリサーチをご提供しています。
課題の発見だけではなく、その後の改善までもご提案することも可能です。ご興味ある方は以下サービスページをご覧ください。



ご紹介は以上で終了です。
ご紹介した内容の不明点やもう少し詳しく聞きたい!などありましたらお気軽にお問い合わせください。気になる方法をご連絡いただいても、サイトが使いづらいけどどうしたらいいかわからない…という状態からのご相談でも全く問題ありません。
各調査・評価方法の概要や活用のしかたなど、ご参考になれば幸いです。

ヒューリスティック分析・調査について、お気軽にご相談ください

Webサイトやアプリの使いやすさに関する評価や課題の発見など、UI・UXの専門家が調査します。
課題を明らかにした後は改善のご提案や制作まで幅広く対応いたします。
お客様のご状況に合わせた最適な解決方法をご提案いたします。まずはお気軽に、ご相談ください。

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村田 歩美
村田 歩美
HCD-Net認定 人間中心設計専門家。SIerでの業務経験を経てシナップへ入社。UXデザインを中心にマルチに活躍するディレクター。大阪生まれ東京育ち。猫と果物が好き。

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